恋日和。 (ページ19)

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#019 ページ19

「うわ…！」

後ろから腕を引かれ、180度回転した私の視界。

私の手を引いているのは、

「平野くん？」

私たちの周りに集まっていた人たちの中をすり抜けて、向こうの方から呼び止める声が聞こえてくるけどそんなの構わず平野くんはどんどん歩いていく。

.

「ちょっと、平野くん？」

平野くんがやっと止まった場所は、普段あまり使うことがない選択教室とかいう場所。

平「授業、始まっちゃったね。」

軽く微笑んでから、窓際の席に腰掛けた平野くん。

あの日以来、まだ話していなかったから多少の気まずさが私にはあるわけで。

「ありがとう。」

だけど、そんなものも平野くんのおかげでどこかに消え去ってしまった。

平「俺は別に何も。ただ、ああいうの見てて腹立つから。」

「え？」

平野くんでも、腹立つことあるんだと少し驚く。

平「皆、Aちゃんの言葉なんて聞こうともしないで篠崎の言うことしか信じてなかった。」

ほら、こっちおいで。と平野くんが手招きをしたから平野くんの隣の席に座った。

「私は、瑠奈ちゃんに何も言ってないの。信じてくれる…？」

さっきの事があって、もう誰が自分のことを信じてくれるのか分からなくなってしまった。

平「信じるもなにも、Aちゃんがそんなこと出来るわけないやん。こんなに優しい子なのに。」

私の頭を撫でるその手は、とても暖かくて思わず涙が溢れた。