取り戻せ、青い春。 (ページ15)

今日:7 hit、昨日:13 hit、合計:28,473 hit

＿13 ページ15

・

りょうside

お店に着いて「予約していた福尾です。」と伝えると雰囲気の良い半個室に案内された。

隣を歩くAちゃんは少し不安そうにしながらも

『すごい綺麗だねぇ』

とニコニコしている。

案内されたところに入り、メニューや注文方法の説明を受ける。

「では、失礼致します。」

全ての説明が終わり、店員さんが去っていった。

り「今日、髪の毛も洋服も可愛いね。」

彼女はふわっと巻いた髪の毛にブルーのワンピースを着ていた。メイクは控えめだけど、メイクなんてしなくても可愛い顔だった。

『すごい恥ずかしい、ありがとう。』

顔を赤くして下を向く彼女はとても可愛く、少しいじめたくなってしまう。

今なら好きな子をいじめちゃう小学生男子の気持ちがよくわかる。

り「本当のことだよ。他の人に言われたりしないの？」

『しないよー。可愛いなんて言われるどころか女の子扱いもされたことないもん。』

り「そうなの？こんなに可愛いのに。」

『可愛いって言ってくれる男の人なんてりょうさんしかいないよ。だって今まで彼氏どころか好きな人もできたことなくて、青春とは程遠い人生だったからさ。』

彼女があまりにも寂しそうな顔をしていたので思わず抱きしめそうになったのをぐっと堪えた。

その後は明るい話題で盛り上がり、あっという間の時間だった。

会計を済ませてまたタクシーに乗ろうとアプリでタクシーを呼んだ。

ここまで15分ほどで着くようなのでそれを彼女に伝えて入口付近で待っていた。

『ご馳走になっちゃってごめんね。ありがとう。』

彼女はニコッと笑い首をこてんと傾げた。
その顔が可愛くて仕方なくて。

り「いいえ。Aちゃんと沢山話できたし、楽しかったから。いいよ。」

少し沈黙を続けていると入口の前を見た事のあるオレンジ頭と高い鼻を持つ彼らが通った。

頼む、通り過ぎてくれ。と思ったのも束の間。

オレンジ頭がこっちに気付いてニヤニヤしながら向かってきた。

て「りょうじゃん。なにしてんの」

と「あれ、この子、この前の？」

り「ちょっと、黙って。」

余計な事を言われたくないと思い、咄嗟に口に出していた。

隣に座る彼女はてつやととしみつを少し警戒していた。

り「あー、ごめんね。この人たち、仕事仲間。」

すると彼女はおそるおそる会釈をした。