渦 ページ1
雨が冷たい3月の終わりのこと。いつも通りにマサを待っていた。
けれど時間になっても彼は来ない。
一応メッセージを入れたけれど既読すらつかない。
「……寒いな」
傘を差しながら彼の居る体育館へと足を運ぶ。まだ明かりがついているから、誰かしら居るだろう。
シューズを持っていない私は、入り口に靴を揃えて靴下で中に入る。
冷たい床が足の裏に伝わって少し震えそう。
「あ、いた…」
扉の隙間から覗くと、ボールを抱えた彼がいた。
「マっ…」
「久し振りなのに冷たいなぁ」
一人の女性の声に私の声は出なくなった。
移動して見てみると、パンツスーツにコートを着た女性がいた。
誰…？友達？
「…何で来たの」
いや違う。
彼の声色的に、友達では無いようだ。
「………A？」
ヤバい気付かれた。
「え？誰？」
流石に出て行かない訳にも行かず、恐る恐る足を踏み入れた。
中の空気は外よりも冷えている様な気がしてならない。
そして彼女は私をじっと見つめていた。
私より少し背の低い気の強そうな綺麗な人。恐らく私より年上だろう。
「あれこの子慶應の王子じゃん。何、将洋の彼女？」
「そうだけど」
「…へぇーこういう子がタイプなんだ？」
私に近付いて顔をマジマジ見てくる。
「…あの、どちら様ですか」
「私？二人の2つ上の朝日奈玲子。将洋の元カノ」
頭の中を殴られた様な衝撃が走った。
元カノ…？この人がマサの？
「止めろ」
「別にいいじゃない。ね、王子ちゃん。将洋とどこまでしたの？」
「止めろって」
マサの制止の声も聞かず、ベラベラと喋り続けた。
「もうキスした？それ以上は？私はしたよ？」
「っおい！」
「…貴方には関係ないことですよね？失礼します」
後ろからマサが私を呼び止める声がしたけれど、止まれなかった。
酷い雨の中私は傘も差さずに外へと飛び出した。
流れてくる涙に気付かないふりをして、ただ前へと歩いた。
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華弥。(プロフ) - みかさん» ありがとうございます(*^^*)嬉しいです！これからもちまちま更新ですが、よろしくお願い致します。 (2019年12月6日 23時) (
レス) id: d5a525a881 (このIDを非表示/違反報告)
みか - めっちゃ好きになりました。 (2019年12月6日 8時) (レス) id: a8aa169b50 (このIDを非表示/違反報告)
華弥。(プロフ) - もちもちのき。さん» コメントありがとうございます(^^)嬉しいですー！まだまだ頑張るのでよろしくお願い致します！ (2019年11月12日 14時) (レス) id: d5a525a881 (このIDを非表示/違反報告)
華弥。(プロフ) - リスと林檎さん» コメントありがとうございます(^^)そう言って頂いて嬉しいです！まだまだ頑張るのでよろしくお願い致します(^^)拝見させて頂きますね(^^) (2019年11月12日 14時) (レス) id: d5a525a881 (このIDを非表示/違反報告)
もちもちのき。(プロフ) - 続編おめでとうございます！いつも楽しく読ませてもらってます〜 (2019年11月12日 4時) (レス) id: fc71b503ba (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：華弥。 | 作成日時：2019年11月11日 21時
