49＊躓いては ページ49
小さいときは、よく何もないところで
今も運動はてんで駄目だけど、その頃はもっと酷かったっけ。
しょっちゅう擦り傷をつくって帰ってくる私を見かねて、お母さんはポケットの中に絆創膏を持たせてくれていた。
といっても転けまくっていたのは幼稚園から小学校に入るまでくらい。
小学校の中学年には落ち着いていて、だから油断していたんだと思う。
確か小学校三年生のとき。
私は一人で鉄棒目指して全力で走っていた。
決して走ることは得意ではなく、けれど足を速くするために猛スピードダッシュしていた訳でもなかった。まあ猛スピードとというのは私の脳内でだけだったのだが。
逆上がりがどうしても出来なかったのだ。
クラスには私の他にも苦戦している子がいたが、少数派だった。
更に追い討ちをかけるように「小学校三年生くらいまでには出来ないとずっと出来なくなっちゃうかも知れないから頑張ろうね」と先生が言ったことで、私に練習しないという選択肢はたちまち無くなったのだ。
「小学校三年生くらいまでには出来ないと」という言葉の真偽は分からない。
今分からないのだから当時もそうだったんだろう。
けれどまだ大人の言うことを大抵は素直に聞いていた時期。
私は微塵も疑わず、焦っていた。
油断と、焦りと。
それに運動神経の鈍さも相まって、私は鉄棒に着く少し手前で派手に転んでしまった。
運悪くその前に転けたときに絆創膏を使い切っていたらしく、ケースは空。
「最悪だ……」
逆上がりの練習は出来ないし、保健室まで足を引きずって歩かないといけない。
今もそのときも最悪、という言葉は嫌いだけど、そのときは思わず呟いた。
「大、丈夫？」
のろのろと緩慢に立ち上がったとき、遠慮がちな声がした。
振り返ると小柄な女の子が心配そうに立っていて──
それが、私と花鈴ちゃんの出会い。
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しろひつじ(プロフ) - みまりさん» ありがとうございます!!何回も読んでいただけるなんて本当に嬉しいです。テンション上がりますか、すごい……！ (2015年2月13日 21時) (
レス) id: 6b5ba321da (このIDを非表示/違反報告)
みまり - ちょー面白くて何回も読み直しています! これ読むとテンションアゲポヨになります! (2015年2月13日 20時) (レス) id: 7a2b267fa6 (このIDを非表示/違反報告)
しろひつじ(プロフ) - みーゆさん» みーちゃん！嬉しい!!!自分のこととかも考えながら書いてますー。ありがとう、頑張る！ (2015年2月10日 14時) (レス) id: 6b5ba321da (このIDを非表示/違反報告)
みーゆ - すごいねー！つい読みふけっちゃったよー(￣∇￣;)白ちゃんの実生活とかが混ざっててちょーおもしろかった！愛読者になっちゃいます笑笑 更新楽しみにしてるね！教えてくれてありがとうっ(*^_^*) (2015年2月10日 14時) (レス) id: 06beca72c0 (このIDを非表示/違反報告)
しろひつじ(プロフ) - りるぽんず*さん» りーちゃん！！！ありがとう！！！コメントまでしてくれて本当に嬉しい！まだまだ模索中ではあるけど、妥協せずに頑張ります。りーちゃんの更新ラッシュを見習ってかきかきするね！ (2015年1月20日 17時) (レス) id: 6b5ba321da (このIDを非表示/違反報告)
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