44＊揺蕩う傍観者 ページ44
淡い微睡みの中を音もなく
夢と現実の狭間のような感覚が私を支配していた。
水の中に似た浮遊感。
──久し振りだ。
真っ先に目に映るのは黒板と教卓。
今の中学校のものより少し小さい机と椅子。
黒板の側にあるガスファンヒーター。
此処は、小学校の教室。
中学校で使っているのは電気のファンヒーターだ。
というよりも、私たちの学年が中学校に上がるときに、市内の小中学校のヒーターがガスから電気に変わった。
ガスだと換気に気を遣わないと危ないからかな。
「換気をしないと死亡事故に至る恐れがあります」
そんな注意書きを見て、子供心に怖かった。
懐かしい景色だな。
それだけ、うっすらと思う。
でもその中に違和感が漂っている。
今も以前も変わらない、煩い程の教室。
それは確かに同じなのに何処か違う。
小学校、だよね。
なのに何年生だった頃の景色かは分からない。
私がこの中に居たことは無い、筈。
楽しげにはしゃぐ子供たち。
其処から外れた場所にいる一人の少女を私は見ていた。
観ていた。
私は今もこの景色には居ない。
夢の中からひっそりと見つめる傍観者。
少女は独りきりで自分の席に座っていた。
一人ではなくて独り。
静かに孤独に耐えているように感じられる。
不意に机に落としていた目線を上げて、窓の外を見つめる。
私の『目』も少女の目線に寄り添って移動していく。
窓の外では、鳥が悠々と空を旋回していた。
ただ一羽で。
『あなたも何か抱えているの？ それとも、ひとりは好き？』
少女の唇が動く。
その瞳が儚げな色を帯びることさえもはっきり見える。
気楽でいいね、あなたは。
彼女はそんな風には言わなかった。
そうしたのは、問い掛ける言葉を紡いだのは。
仲間を、探しているからかも知れない──
開いた窓から風が吹き込んで、少女の髪を揺らして通り過ぎた。
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しろひつじ(プロフ) - みまりさん» ありがとうございます!!何回も読んでいただけるなんて本当に嬉しいです。テンション上がりますか、すごい……！ (2015年2月13日 21時) (
レス) id: 6b5ba321da (このIDを非表示/違反報告)
みまり - ちょー面白くて何回も読み直しています! これ読むとテンションアゲポヨになります! (2015年2月13日 20時) (レス) id: 7a2b267fa6 (このIDを非表示/違反報告)
しろひつじ(プロフ) - みーゆさん» みーちゃん！嬉しい!!!自分のこととかも考えながら書いてますー。ありがとう、頑張る！ (2015年2月10日 14時) (レス) id: 6b5ba321da (このIDを非表示/違反報告)
みーゆ - すごいねー！つい読みふけっちゃったよー(￣∇￣;)白ちゃんの実生活とかが混ざっててちょーおもしろかった！愛読者になっちゃいます笑笑 更新楽しみにしてるね！教えてくれてありがとうっ(*^_^*) (2015年2月10日 14時) (レス) id: 06beca72c0 (このIDを非表示/違反報告)
しろひつじ(プロフ) - りるぽんず*さん» りーちゃん！！！ありがとう！！！コメントまでしてくれて本当に嬉しい！まだまだ模索中ではあるけど、妥協せずに頑張ります。りーちゃんの更新ラッシュを見習ってかきかきするね！ (2015年1月20日 17時) (レス) id: 6b5ba321da (このIDを非表示/違反報告)
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