4,恐い ページ4
黒塗りの車に乗せられてビルに連れてこられた。何故か分からない。あの場で皆始末すれば良いのに。きっと何かしら考えがあるのだろう。
* * *
ゴンッ
私と妹は両親と違う部屋に入れられた。酷く暗い部屋だ。ベッドがあるだけで電気もない。部屋を照らすのは鉄格子のはまった小窓から差す月明かりだけ。
あぁ,こんなに暗いところは大嫌いだ。
闇に呑まれてしまいそうで恐い。
ドンッ ドンッ
間を開けずに2発。銃声なのだろう。両親はもう死んだ。
トンッ トンッ
誰かが降りてくる。次は私達の番。きっと売られるんだ。
19歳の私と18歳の妹は年相応に成長しているし高値がつくことは無くても,買われ無いことはない。梵天はそう考えたんだ。だから違う部屋に入れられた。
チラッと妹を見ると震えている。そりゃそうだ。蝶よ花よと育てられて暗闇を知らない妹には急のことで意味が分からなくなるし恐怖で頭が支配されているんだろう。
トンッ トンッ
足音は尚も近づいてくる。
恐い。
死にたくない。嫌だ。どうする。逃げる。いや,無理だ両手足は縛られているしあんな太い鉄格子がはまっていたら逃げ出せない。
殺すか。武器。武器は,ナイフだけ。これじゃ,殺せない。どうする。
そうだ,隠れよう。確かもう1つこの部屋には扉があった。
私はブーツの底に隠していたナイフで私と妹の縄をほどき,怯える妹を抱えて入り口とは別のドアを開けた。
そこは浴室だった。人1人が丁度入れるくらいの浴槽とシャワーがあるだけけで他は何もない。狭い空間だ。これじゃ,1人しか隠れられない。私が隠れる。
いや,妹を隠さないと。自分の身を守れないのだから。
浴槽に蓋をしてナイフを手に持ち元いた部屋に戻る。
大丈夫。大丈夫だよ。
私なら殺れる。
暗闇を知っている私なら。
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作成日時:2022年1月14日 12時