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11,黒く暗く ページ11

連れてこられたのは梵天の首領,幹部が勢揃いしている部屋だった。窓が1つも無いので凄く暗い。そして,皆してこちらを睨んでくるものだから部屋に漂うのは重苦しい空気。そんな中,口を開いた首領さんは

「梵天に入るか,ここで死ぬか,今決めろ。」

そう言ってきた。選択肢は2つだけ。まぁ,答えは決まってる。

* * *

「A,スクラップ。」

「また,ユダかよ。最近多いなぁ゛−。」

三途さんは声が大きい。言ったら怒られるから言わないけれども。パラパラと紙を捲る音。九井さんに渡された書類には5名の裏切り者の個人情報なるものが記載されている。私は書類を読みながら質問する。

「何で,スクラップにされると分かっているのに裏切るんでしょうね。」

返答はない。誰かしら答えてくれたっていいのではないだろうか。まぁ,まだ信用されていないのだろう。
あぁもうそろそろ時間だ。

「私,行きますね。」

そう言って部屋を後にする。

* * *

裏切り者が潜伏しているのは歌舞伎町だった。どうやら,裏切ったことがばれたその男は慌てて部下のいる歌舞伎町に身を隠したそうだ。隠れたって無駄なのになぁ〜。あの日と変わらずに光るネオンの看板を見つめながらクスクスと笑う。

* * *

リボルバーの弾倉に入ってる弾丸は後3つ。この後,もう1人始末するからあんまり減らしたくないな,なんてことを思いながら男のこめかみに銃口を押し付ける。

「すッ…すまない。許してくれッ。金ならいくらでもやるから。もッ,もう゛ッ……………。」

ガクガク震えながら惨めに命乞いをしていた男は弾丸をぶちこまれて息を引き取った。

至近距離で返り血を浴びた。服にベットリと付き鼻をつく鉄のような匂いはいつまでたっても慣れることは出来ない。

今日も歌舞伎町は光っている。

路地だとそれがよく分かる。今まで怖かったはずの路地は今や私のお気に入りの場所だ。逆に光っている所が怖くなったくらいだ。人って変わるもんなんだなと感慨深いことを思いながら九井さんの部下が連れてきたもう1人の裏切り者にも銃を撃ち込む。

弾丸は1発だけ残った。

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作成日時:2022年1月14日 12時

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