9.帰ってくれ4 ページ4
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千冬side
正直もう帰りたい。
さっきからおばさんと一虎クンが2人でAの結婚式がどうこうの話で持ち切りだ。
Aは普通に否定してるし、俺のことが好きだから余裕ぶっこいてた。
だけど相手は一虎クン。
やっぱ女子からはあーいう男が人気なのか…分かんねぇ。
場地さんのほうが100倍かっけぇのに…。
まあ確かに顔は良いよ。顔は。
こんなこといったら殺されるからナイショな。
でもAもAで一虎クンに迫られると恥ずかしそうに顔を赤くする。
モヤモヤするけどこんなんで不安になって嫉妬するのはダセェから平常心を保とうと白猫のケージを見る。
でもガラス張りのケージに反射するAと一虎クンの姿は妙にお似合いだ。
美男美女ってやつ?
おばさんも一虎クンがお気に入りらしいし。
よりによってあんな何考えてっか分かんねぇ危ない男にひっかかるとは…。
『私は一虎くんじゃなくて千冬と結婚するの。』
Aの凛とした声が店の中に響く。
お客さんが他に居ないからって
んなデケェ声で俺と結婚とか言うなよ、、。
『ね?千冬♡』
「いや聞いてない」
まあお前なら、、良いケド
なんやかんやで機嫌を取り戻す俺はまだまだお子ちゃまだ。
ただ次の一虎クンの発言で俺の心境はぐるりと変わる。
「なぁ場地!俺と千冬ならどっちがAとお似合い?」
「俺に振るなよ!」
『てかなにその質問。』
……マジか。
でも場地さんは俺がAのこと好きってことは知ってるから俺を選んでくれる。
そう信じていた。
「うーーーーーん………一虎かな。」
まさかの返答に吃驚した。
嘘だろ場地さん、、、。
ただただ白猫のケージを眺めて気にしていないフリをした。
素直になれないのは、そういうお年頃ってやつ。
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作者名:うい | 作成日時:2021年9月23日 0時