聖なる夜の乙女たち (ページ20)

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汐｢俺、なんも用意しとらんかったから｣

A｢いやこれは私が勝手にしただけやし｣

なんだかそう思わせたなら申し訳なくなる。

クイッと引き寄せられ、汐恩の顔が真上に来る

あと数センチでまた唇が重なりそうだ。

部屋は真っ暗な中にキャンドルに灯された火が1つ

顔がハッキリ見えないのが残念だ。

汐｢やから、クリスマスプレゼントは俺でええ？｣

そう、耳元で囁かれる。

こんな汐恩知らん、こんな、こんな………

あまりにもイレギュラーな出来事すぎて

私の頭では処理しきれない

A｢そういうのは女の子のセリフやろ？｣

汐｢男も言うで？それで、どうする？俺のプレゼント、受け取る？｣

A｢……………………受け取る｣

汐｢ふはっ、ええ子｣

ゆっくり沈もう、シーツの海に

お互いの吐息を感じて

潤む瞳にお互いを映して

確認するかのように唇を重ねて。

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なんやかんやで私の方が汐恩に依存しているのかもしれない

親子だとか夫婦だとか言われるけれど

そうだと切れない縁で結ばれるからなれればいいのに、なんて

今の関係にいちゃもんつけるわけじゃない。

ただ、この先のクリスマスもずっと一緒に過ごせたら

クリスマスだけじゃなくて、

バレンタインはチョコをあげてホワイトデーにはお礼を貰って

花見や夏祭りも一緒に楽しんだり

お互いの誕生日は2人きりで祝ったり

お正月も一緒に年越しをして

本当にいつか、汐恩からのプレゼントは｢鶴房｣という苗字がいいな、なんて

A｢汐恩｣

汐｢ん？｣

A｢好きやで｣

汐｢知ってんで｣

A｢汐恩は？｣

汐｢分かっとるくせに｣

A｢言葉にしてくれな分からん｣

汐｢ふふっ、なんや甘えた？｣

A｢うん｣

俺はな～と言う汐恩に抱きしめられる

温かくて、心地よくて、心臓の音が聞こえてくる

汐｢ちっちゃい頃から愛してんで｣

A｢なんやねんそれ｣

汐｢ほんまやて、ずっと愛してる｣

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こんな胸焼けしそうな甘いクリスマスも悪くないかもしれない。