聖なる夜の乙女たち (ページ1)

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涙を拭ってその音に耳澄ませページ1

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｢なんか、一緒にいると楽しくなくなったんだよね｣

なんて言われて3年付き合った彼氏に振られたのはクリスマスを迎える5日前

言い返そうなんて思ったけど

プツン、と糸が切れたように一気に冷めてしまって秒で了承

あと5日でクリスマス

街はイルミネーションや音楽でクリスマス気分だ。

そんな中1人歩きながら1粒の涙を流した

A｢……一応大好き、だったんだよな｣

コンビニに寄ってビールとお菓子を買って

寒い公園のベンチに座ってやけくそで飲み始めた

家に帰るのもなんだか面倒だ。

冷たい風が火照った頬を撫でて丁度いい。

A｢あのクソ野郎～～～～！！！｣

3年分の写真を消していく

すると画面が、いいや涙が溢れて画面が揺れる

ほんと、好きではいたんだよ

ぐびぐびとお酒を飲む手を進める。

そんな時だった。

｢あの、大丈夫ですか？｣

あ゛？ナンパか？？？？

ただの優しい人か？？とまぁどうでもいいと思い無視

涙で濡れた携帯が見えないのだろうか

そっとしておいて欲しい。

｢あっ寒いですよねよかったらマフラー使ってください｣

｢そのお酒飲んだことないんですよね、うまいっすか？｣

｢んー…そのお菓子ちょこっとでいいんでくれませんか？｣

A｢ねぇ！！無視してるってことは話しかけるなって意味なの！わかる？！｣

思わず声を上げてしまった。

いや誰だって声上げたくなるでしょこんなん。

まぁまぁキレたのに、目の前にいる彼は笑った

は？ドM？なんなのコイツ

｢やっと声が聞けた、隣座っていいですか？｣

A｢ダメ｣

｢失礼しま～す｣

はぁ、ダメだ。コイツとは会話が成り立たない

隣にひょっこりと座った彼は勝手に私のお菓子を取って食べたり

マフラーをブランケット代わりに膝に置いてくれたり

A｢はぁ、もういいここ使いたいんでしょ私がどっか行くから。じゃあね少年｣

｢え？いや僕名前ちゃんとありますよ！木全翔也です！翔也って呼んでください！！｣

腕を掴まれ勝手に名前を名乗って私を引き止める。

いつの間にか涙は引っ込んでいたことにまだ気づかなかった。