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寝ている間の映像と同じような内容を聞く。
私がいなくなって母がおかしくなったことも。全て背負いこんで自ら枷を付けた兄の行動と言動。
残るは、エリン家に代々仕える家の話。
「ラスは？」
「あの人は...まぁ、頑張ってる。弟子だけじゃなく娘まで死んだからショックだろうけど、それでも立場がある。笑って仕事こなしてるが、他の子息がまだ残っている。
ブラキオラスの家はエリン家の血が混じっている。いざとなったらそちらから次期当主を探すだろう。当主は変人だからオレには何をどうするか想像出来ない。」
当主が変人というのは正しくそうで、ヒュースのような国から生まれたものではなく、ガレナのような他国の人間を連れて息子にするなど突拍子もない。本来なら百歩譲って配下である。
それと違い、ブラキオラスはとても真面目だった。父も強いが剣の技術は黒トリガー持ちのヴィザ翁には及ばずとも、優秀な剣技を持っている。変な父の補佐をし、必要があればその他の事にまで手を下せる不動の右腕。
昔、良く遊びに付き合ってもらった。それこそ、あの枝を引っ張って当てるのは彼とやったものだ。勿論、軽くひょいと避けられたが。
そんな強いブラキオラスだが、兄が死んだ時も笑っていた。“まだ罪を背負うつもりか”と悲しそうな、歪んだ笑顔で黒トリガーに手を取っていた。
「大体分かった。ヒュース、帰るつもりなの？」
「あぁそうだ。こんな所に長く居座っている場合じゃない。今言った通り、かなり危うい。」
今頃、アフトクラトルは軌道上に乗りまた距離を離しただろう。遠征艇に乗ったところで簡単には辿り着けやしない。現在は諦めざる負えないだろう。
「でもなんでハイレインはヒュースをここに置いていったの？私はあの時の約束がこんな風に達成されて嬉しいんだけども…ミラが来ていたはず。窓で回収も出来るでしょ」
「それが、何度考えてもこの結果が分からない。
迅の奴が残って正解だ、とは言っていた。そんな訳あるか」
迅さんが？
アフトクラトルの貴重な強戦力を見逃すほどの事が国内に起きているのか。それほどとなると、やはりマザートリガー絡みとしか考えられないが。ヒュースもそこまでなら思いつくだろう。そこからが問題だ
「考えたって仕方ない。ヒュースが帰りたいのなら私も協力したいけど、あまり期待しないで。それと、私のことはあまり信用しない方がいい」
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