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穂刈先輩は走り込みの後、水を飲もうとしたら携帯を手洗い場で水没させたらしい。たまたまSDの部分に隙間があったせいだ。
つまり、その近くを歩いていた佐鳥がたまたま穂刈先輩に応援を頼んだのである。
それも全部サイドエフェクトで見えた上で僕達を迅さんが動かしていた。
「すごいな、結束バンドは。」
「この前映画でも使ってましたよね！菊地原、風間さんに連絡連絡！」
それに佐鳥は気付かないまま、この任務を全うしたと喜んでいる。
「菊地原さん、ありがとうございます」
「別に、それよりこいつらなんなの？」
完全に戦意喪失。そもそも、ボーダー職員を狙いにする時点で間違っている。
「さぁ、なんかここまで誘われました」
「あのね、知らないやつについて行くなんて今時小学生でもしないから。小学生以下なの？」
まなじりを上げる。間違いなく正しいのでごめんと謝罪した。
「でも放っておくわけには行かなかったので。大丈夫です、逃げようとしました。」
何が大丈夫なんだ、無謀すぎる。そこの枝投げ筋肉ゴリラみたいなやつじゃあるまいし。
「ごめんねーAちゃん。多分女の子が男にほいほいついて行くのは危ないから気を付けて、ってことを言いたいだけなんだよ。素直じゃないなぁ」
佐鳥がウザイ。いちいち肘でつんつんと小突いてくるのが本当に嫌でその感情を精一杯顔に出したが気にする様子がない。早く帰りたい。
「本部の職員が来るまでだ。待つのは」
「はいはい。分かってますよ」
職員が来るまで事情聴取。丁度ガラの悪い筋肉の穂刈先輩もいるし。ここに荒船さんがいたらきっとガチで恐喝現場みたいになる。
多分こいつがリーダー格なんだろうなと思う両足の靴色違い馬鹿の前にしゃがむ。さっき顔を出していた時に引っ張ってきたらしい。引きずったせいか背中が大分汚れている。
その前にしゃがんで聞く。
「す、すみません...その、好奇心で...」
「何が？ちゃんとハッキリ喋らないとあいつの所属に話盛って報告するよ。」
まさかこんなにエンジニアが怖かったなんて、と言っていた髭がいた。ストーブが壊れて餅が焼けず修理を頼んだらしい。一体何をしたんだあの人
「うぇぇ...エンジニアの攻撃ってハッキングで恥ずかしい写真公開されそう...」
佐鳥が両腕をさする。その恥ずかしい光景を撮られているのかお前は。
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