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最初は何を書こうかと楽しく悩んできた。そしていざ考えて、京介そもそも暇なときあるの？と考えた瞬間。だんだん苦しくなってきた。
「今日もバイトだったし...」
「基本的に自由にしているのを俺は見たことない」
「だよね...どうしよ」
それだけじゃない。ボーダー隊員は収入を家に出し、そして自分のためにも使うのだが京介は違う。大規模侵攻で貰った特別な報酬も家族のために使っている。
私はもう十分楽させてもらっていて、これ以上欲張る訳にはいかない。そもそも、最初に受けた恩も返せている気がしない。
「あぁ、それだ。京介が渡したから京介限定かと思ったけど実際違うよね。ヒュースとかでもいいんだ」
ピンときた。対象は誰でもいいはず。
「それは俺が常に暇だということか」
「うん。だってどうみたって暇じゃん」
言い返せないのでムッしたようにまた眉間に皺が。いつか取れなくなってしまうんじゃないかと思いクスリと笑う。
本当に何をして過ごしているのか謎だ。
「それに、2月14日のこと知ってるのヒュースだけでしょ。その日は絶対に兄さんのために星を見るの。
ねぇ、皆にお願いしてその日だけ綺麗に見える場所に移動しようよ。ここも明るくて少し見えずらいんだ」
三門市のどこにでもある監視カメラや探知装置、街頭、家の明かりが夜は光る。
完璧に美しいものが見れる場所はここでも限られていた。
「...それでいいのか？本来は、」
ヒュースは言葉を飲む。それはもう沢山聞いた。
「私は“まだ”、生きている」
「A...？」
無意識に強調してしまう。おかげでヒュースは気づいてしまったようで、少し焦ったような顔になる。
「そうでしょ。兄さんの意識がもしも生きているのだったら私は兄さんのために、わずかでも生きているうちにあの日の続きをしたい。私の誕生日を祝うなら、死んだ後からでいいの。」
兄さんの誕生日は誰一人分かっていなかった。だから、いつも祝う側で、遠くを視ていた。
あの日は邪魔が入り中途半端になってしまったが、ここなら出来そうだ。1日くらいヒュースを外に連れてってもいいだろう。
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