未来を変えるための4【烏丸京介】 (ページ22)

今日:35 hit、昨日:68 hit、合計:102,020 hit

151 ページ22

Aの規格外のトリオン能力は生まれ持った才能ではない。あれは角の実験の一部によって起きた偶然で呪いのようなものだ。

当時、トリガーホーンの更なるトリオン能力の増加を目指すため、子供の心臓に爪ぐらいの大きさ程の装置を取り付けるという人体実験が行われた。

それぞれの家から一人ずつ。その年に発育途中の一番幼い子供が選出される。

そこで、たまたま末の子だったAが選ばれた。勿論エリン家自体は反対したが、国の重要な家からは必ず選出しなければならない。そして他の家はやる気だ。なぜなら、それが成功したら角の恩恵を効率よく受けられるようになり家の格が上がる。

これからの事を考えると、断るという行動を取れば間違いなく周りから国に協力しない家と批判されるだろう。今は良いとして、これから先ずっとそう扱われる。

結果として他の子供は失敗し、死ぬか後遺症が残るかのどちらかと言う中、唯一Aだけが成功した。

それは、実験をしてから１ヶ月後くらいに分かる。装置が角と一緒で心臓に絡みつく頃合。成功すればそれを国の開発機関に報告しなければならない。

だがそれをしなかった。時間が経つにつれ成長する大きなトリオンはまだ幼い本体には受け止めきれず、酷い高熱などでうなされる姿を見て、これ以上実験に苦しませることをさせたくないかったからだ。

生きていれば必ず開発の犠牲になる。そう考え、当主が選んだ選択は死んだという報告をすること。

周りと同じ報告をすることで、実験自体が失敗したことになれば開発も諦めると判断した。

しかし、なかなか諦めず死んだ子供の解剖までもすることになった。回収のため、それぞれの一番上にいる四つの家が訪れる。

もう死体は早々に処理をしたということにし、A自体はここから5年間、信頼の出来るブラキオラスの所へ一番上の兄と共に預けられた。

ハイレインも格下の家までは訪れないようで、その時はなんとか凌ぎきることが出来た。