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もう、エリン家当主の娘という絶対的なものじゃない。書類上では玉狛支部の支部長の養子となっている。もし、アフトクラトルに帰ることを一時の目標としているなら、前のように信用していい相手ではないだろう。
それに、この一年間で私はボーダーの味方になってしまった。きっとヒュースが求めている前の私じゃないだろう。一年前と一緒であると考えない方がいい。
それでも、その時が来るまでに私を家族として好きでいてくれるなら。私もそれ相応の意識をしなければと思う。
ずっと一緒にいた幼馴染として
「私は上に戻るけど...」
「俺はまだここにいる。捕虜なことに変わりはない」
「分かった。また来るね」
地下の部屋を後にし、皆がいる部屋に戻る。先程よりも盛り上がっている。
「騙したわね！！今日こそは許さないわよとりまる！！」
「...！？」
今度は一体何を言ったのだ。ヘッドロックされる京介は今回こそ殺されそうで、ソファーとは別にダイニングテーブルの場所に座るレイジさんの腕を掴む。両手でやっと一周できるぐらいの筋肉は固い。
きっと何かしてしまったんだ。やっぱり本当に怯えられるようなことをしてるんじゃないかと震える。
「どうしたの？いつものことじゃん」
「いつものこと...！？」
栞ちゃんがおやつの一口ドーナツを食べながら笑顔で言う。佐鳥の影響か、酷い想像をする。
いつもの事なのか、いつもそれで桐絵にまた殺されそうになっていると。
「京介はそこまでの罪を...」
｢烏丸が小南で遊んでただけだ。恋話をしないだけで婚期が遅れるわけない。あれもじゃれてるだけだ」
じゃれている。確かに素の小南の腕力で殺せるものでは無い。そういうのはこの今掴んでる腕のようでないと、と冷静に考えたら分かった。
「罪は？」
「一体どういう経緯でそこまで拗れる。おまえも流されやすいタイプだったな」
「じゃれてるだけ？」
「あいつらはボーダーの任務以外はただの学生だぞ。よく分からんが考えすぎだ。」
アグレッシブなじゃれ合いは小南の腕の限界で静まる。身長のこともありなかなかに大変そうではあった。
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