44 ページ48
「そうだ、辻さん。あの、玉狛支部は...」
「大丈夫です。俺が連れていくんで」
少し息を切らしながら来た方とは逆の方角から自転車を引いて京介が私の言葉を遮った
「京介、なんでここがわかったの?」
「ここら辺探しましたから。レイジさん達心配してますよ」
「烏丸か。悪い、俺のせいだ」
とても迷ってましたなんて言えない。このままでは辻さんのせいになる。今回、全部私のせいなのに
「京介、私のせいで辻さんに迷惑かけちゃったから怒るなら辻さんじゃなくて...」
「あ、大体状況は察せてるので大丈夫です。俺が怒ってるのは別の部分なので」
迷ってたのバレてる...!?別の部分、分からない
辻さんにおこってるんじゃないのならいいけどなんか怖い
「大丈夫そうだな。俺は行きます。
じゃあ今度ランク戦しような烏丸」
「はい」
辻さんは帰って行った。店もいつの間にか電気が消えている。街頭と家の光、雲に隠れそうな月明かりだけだ
「ここから玉狛支部はそう遠くないです。もう少し明るかったらすぐ分かると思います。」
「そうなの?」
正しい道を通ったら案外すぐに川に出た。もう少し先には小さく玉狛支部も見える。こんな簡単な場所をグルグルと歩いていたとは恥ずかしい。そして情けない
「で、なんで外に出たんですか」
「えっと、納得のいく返答が得られなかったから。なんとなく外に出ました。ごめんなさい...」
「で、辻先輩に聞いたんですか」
「初対面の方がいい返答が聞けるかなぁって」
一切目も合わせず、一歩後ろを付いていく。
普段怒らない人が怒るとすごく怖いのは母から学んでいる。どんな雷が落ちるのか嫌にドキドキしながら川沿いを歩いた。
「...俺の方が絶対いい返答返せます。初対面よりまずは身内から頼むべきだと思いますが」
ん?と思いがけない言葉に一瞬足が止まる。つまり、自分より先に初めてあった辻さんに悩みを相談したことを?
「じゃあ、京介はなんて言うの?」
「俺は、単純に行って欲しいって言います。」
「なんで?」
自転車を止め、遅れて私も再び歩くのを止めた。一呼吸入れてこっちに向き直った
「新しい物に触れるときの顔、俺は好きなんです。だからもっと沢山知って欲しい。この国には三門市だけじゃ分からない色がありますから。テレビだけじゃ足りない。
戻ってきていいんですよ。玉狛支部には」
そう言って京介はまた歩きだす。私は着くまでその言葉を何回か頭の中で繰り返した。
345人がお気に入り
感想を書こう!(携帯番号など、個人情報等の書き込みを行った場合は法律により処罰の対象になります)
豆腐ノ木(プロフ) - ゆきむらさん» 4週…!?まじか嬉しすぎて頭おかしくなりそう…!!コメントありがとうございます!! (2021年3月29日 23時) (レス) id: bba6fd72fb (このIDを非表示/違反報告)
ゆきむら(プロフ) - ふぇ!!?!更新?!!(*´`*)ドキドキ。この作品好きすぎてもう、4週くらいしてます…続きが読める日を楽しみにしてます!!! (2021年3月25日 16時) (レス) id: 7eb94c6b54 (このIDを非表示/違反報告)
豆腐ノ木(プロフ) - あいさん» もちろんです。言わばこれほぼ序章で、いずれ原作に続く予定です。じゃないと全くもってストーリー書ける気がしないので!応援ありがとうございます! (2018年11月25日 17時) (レス) id: 696f41baff (このIDを非表示/違反報告)
あい(プロフ) - そういえばなんですがこのお話は原作沿いまで続くのでしょうか?私的には続いてくれると嬉しいです!これからも更新頑張ってください! (2018年11月25日 17時) (レス) id: a2c75168cb (このIDを非表示/違反報告)
豆腐ノ木(プロフ) - あいさん» コメントありがとうございます!とても嬉しいです!誤字脱字沢山あって読みにくいか心配ですが、ご期待に添えるよう頑張ります! (2018年11月5日 18時) (レス) id: 696f41baff (このIDを非表示/違反報告)
作品は全て携帯でも見れます
同じような小説を簡単に作れます → 作成
この小説のブログパーツ