未来を変えるための【烏丸京介】

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｢それで、だ。付いて来ないか？県外スカウト｣

「...はい？」


予想外だった。いつもの仏頂面が少しソワソワしている。


「それは、ここを出ると？」

「そうだ。昨日の夜1人で考えてみたんだが」


ここに来てまだ数日と指で数える程度しか居ない。ボーダーの事情について知っているわけではないのに私まで付き添っていいのだろうか


「一緒に来ればその場で教えることも出来る。それに、成長を感じるのが楽しいっていうやつの気持ちが分かった気がしてな。

なに、嫌だったら断ってくれても構わない。自由でいい。2日の間にゆっくりと考えておけ」



と、言われ。ひとまず作業に集中した。

しようとした。だがあまり出来ない。


ゆりさんとの３人旅。またずっとここには戻らず勧誘をしにいく。テレビで見たような様々な文化が混在する国ならば見応えあるだろう。

この場所だけでなく、国に馴染ませようとしてくれているのか。

多分、私がアフトクラトルに戻る意思が薄い。戻ってくるなと半分言われたものと気付いているのかもしれない。

そこまで読み取られていたと思うともはや相手が凄いのではなく私の表情が緩いのでは無いのか。と考えざるおえない。


今日含め2日。ゆっくり見えて全然ゆっくりじゃない。もたもたしているとあっという間に時間は過ぎていく。



今日も京介は玉狛支部に来ることは無かった。またバイトらしい。

勿論、相談なら他の人だって出来る。だが言われるのは「自由なんだから好きな方を選べばいい」といったものと類似したものだった。

分からないから聞いているというのに。

メインの部屋からは話し声が聞こえる。多分今は小南をいじっているのだろう。ぎゃーぎゃーとまた喧嘩していた。


気分的にその輪に入ろうと言った気はなくて、なんとなく真逆の方に行った。

橋のような形の通路をしているためよく通る方とは別にあまり通らない方の出入口もある。

外は暗く、なんだか昔を思いだす。まだじっとしていられない時、こっそり家から抜け出して見た日があった。勿論心配性の次男や母からこっぴどく怒られた。

だから夜、抜け出す時は一番上の兄、ガレナがこっそり着いてきてくれる。


今日の空は雲が残り快晴とは言えない。が、見え隠れする月と雲は風情がある。

少し肌寒くなってきた季節なのか風が若干冷たいが頭が冴える。


「...少しくらいなら」


散歩。初めて一人で。だからちょっとだけ


そう思って川沿いにふらふらした。

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