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とある朝、14歳のある日
家の中は張り詰めた冷たい空気になっていた
そしてヒュースからのこの一言
「A、今すぐ逃げろ」
訳が分からなかった
切迫し、緊張した表情でヒュースは私を説得する
「神の寿命が迫ってきている。次に選ばれたのはAだ。でも、それを許すわけがないだろ。
頼むお願いだ、逃げてくれ。できるだけ遠い場所に」
「何を言ってるの!? 絶対に嫌!」
引く腕を振り払おうとしたが非力な力じゃ一切抵抗できない。むしろ掴む手の力は強まった。
どこかで私の情報が漏れたらしい。裏切りか、何かは分からないが突然の事だった。
一生を離れ隠れ過ごすか、何百年と国に縛られ話すことも意思を持つことさえなくなるマザートリガーになるかという選択への直面
国に縛られるのは怖くない。遠く離れるのだって構わない。ただ家族と、ヒュースともう顔も言葉も二度と交わすことが出来ないんじゃないか。それが辛いのだ。
この時、私は初めて母を恨む。このような家に生まれたせいで私は死にきれないのだと。なによりヒュースは何も悪くないのに責めてしまう。
「遠く離れてまた会える?そんなの不可能よ。絶対ありえない」
この近界にどれだけの国と人が存在しているのか私にだってわかっている。かつて見上げた空の無数の星々が今は絶望的なものに見えた。
「できる」
「嘘」
「嘘じゃない。この家に対して嘘なんて言ったことがないし言わない。
絶対に見つける。僕を信じろ
だから生きていて欲しい。それがエリン家全体の意思だ。それに言っただろ?絶対に守るって」
とてもない壮大な話にいつもなら笑っているものも笑えない
震えた優しい声に目が熱くなる。今まで泣いたことなんてないのに。やがて、もう変えようのない現実を認めることしか出来ないと思えば、それを我慢するのをやめた。
ヒュースは親指で私の涙を軽く拭き取る。私を見つめるその表情は悔しさが滲み出ていた。
私はその目を見つめ口を開く
「...嘘だったらあなたをもうエリン家の一員と認めないから」
「分かってる。ありがとう」
ヒュースは微笑むといつものように私の手を取って遠征艇に誘導する。このままオートで進みどこか知らない星へと移動するだろう
あんなにも近くにいた存在がたった一瞬で居なくなってしまう。それは呆気ない
昨日は、一昨日は、あの時...もっと何かをしておけば良かったと後悔しながら遠征艇はアフトクラトルを抜け出した。
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豆腐ノ木(プロフ) - ゆきむらさん» 4週…!?まじか嬉しすぎて頭おかしくなりそう…!!コメントありがとうございます!! (2021年3月29日 23時) (レス) id: bba6fd72fb (このIDを非表示/違反報告)
ゆきむら(プロフ) - ふぇ!!?!更新?!!(*´`*)ドキドキ。この作品好きすぎてもう、4週くらいしてます…続きが読める日を楽しみにしてます!!! (2021年3月25日 16時) (レス) id: 7eb94c6b54 (このIDを非表示/違反報告)
豆腐ノ木(プロフ) - あいさん» もちろんです。言わばこれほぼ序章で、いずれ原作に続く予定です。じゃないと全くもってストーリー書ける気がしないので!応援ありがとうございます! (2018年11月25日 17時) (レス) id: 696f41baff (このIDを非表示/違反報告)
あい(プロフ) - そういえばなんですがこのお話は原作沿いまで続くのでしょうか?私的には続いてくれると嬉しいです!これからも更新頑張ってください! (2018年11月25日 17時) (レス) id: a2c75168cb (このIDを非表示/違反報告)
豆腐ノ木(プロフ) - あいさん» コメントありがとうございます!とても嬉しいです!誤字脱字沢山あって読みにくいか心配ですが、ご期待に添えるよう頑張ります! (2018年11月5日 18時) (レス) id: 696f41baff (このIDを非表示/違反報告)
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