八十球目 ページ31
その後の練習試合は苦戦したものの、私達のチームが勝った。
貴方「沙羅、お疲れ。やっぱり沙羅がいると違うね。」
沙羅「そうでもないよ。悠だって凄かったじゃん。」
貴方「沙羅?」
沙羅「ごめん。少し疲れてるみたい。今日は軽く練習するだけだから、悠は先に帰ってていいよ。」
貴方「大丈夫?無理はしないでね。」
沙羅「うん、ありがと。」
この日から沙羅と練習する機会が減った気がする。
喧嘩はしていないのに、どこかですれ違っているような感じがしていた。
私達の関係は変わらないまま、時は過ぎて気づけば夏の大会に。
私達のチームは無事に予選通過。
ことは本戦2回戦目で起きたのだ。
その日に限ってあの練習試合のようなことが起きた。
沙羅が試合に間に合わないと。
今回は補欠がいるから大丈夫だろうと思っていると、補欠の子が試合中に怪我をした。
そうなってしまえば出れる子なんているはずもない。
私を除いて。
監督「しょうがない。寺田、入れるか?」
どうする?
ここで私が断ればチームはここで終わってしまう。
しかし、あの日の沙羅の様子がどうしても気にかかる。
悩んでいるとあの時の沙羅の宣言が浮かんできた。
沙羅(私がもっと強くなってキャプテンになる!そして私が皆を上に連れて行く!)
貴方「監督、入ります!そして沙羅に繋げます。」
監督「よく言った。頑張れよ!」
貴方「はい!」
その時のことは未だに覚えている。
今までその時の体育館の空気や人の熱気、そして何より自分の愚かさを忘れた日などなかった。
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作者名:にゃんこ | 作成日時:2016年7月5日 12時