壊れるほどに君を愛して【2】

･ ページ6

．





駅まで残り50ｍ



その直前にある横断歩道の信号が赤に変わり
私達は同時に足を止めた








．








「気持ち悪いでしょ。実の兄が好きだなんて」




聞こえるかどうか怪しいほど
ボソッと呟いた声は

紫耀の耳にしっかりと届いていたらしい









『んー、まぁ。世間一般的にはね』



その言葉を耳にした瞬間
ガックリとしてしまった自分がいた







心のどこで
彼なら擁護してくれるんじゃないかと
期待していたのかもしれない




なんて自分は馬鹿なんだろう







否定されないのであれば肯定してもらえる。
ということではないのに








．









『でも…』

『俺だって世間一般的には受け入れられないじゃん』







そう言って振り向いた紫耀と

視線を合わせる









『好きでもない女と連んで、やる事だけやって。
ポイって捨てて。名前だって覚えてないし』

『そう考えたら俺らは仲間じゃない？』







仲間…

これは仲間と言っても良いのだろうか








．








「紫耀は私と仲間でもいいの？」

『委員長は特別…かな』

「私の名前フルネームで言える？」

『俺の事馬鹿にしてんの？』

「そういうわけじゃない」







．








特別。





たった4文字


漢字に変換してしまえば2文字にしかならない
この言葉が


何故か私の胸を踊らせた









まるで購入してから初めて着る
お気に入りの洋服を身につけた時のような興奮








にやけているのが彼にバレないよう
下唇を噛みながらそっと俯いた





．

･→←･

→ 目次へ｜作品を作る｜感想を書く
他の作品を探す