壊れるほどに君を愛して【2】

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夢を見た




幼く小さな姿のお兄ちゃんと私が
2人で手を取り合い

どこまでも走り続ける夢









顔を見合わせ楽しそうに
無邪気な笑顔で


真っ白になった雪道の中を
ブカブカの長靴を履いて走っていた






「お兄ちゃん、お兄ちゃん」


と、何度も名前を呼びながら
必死に後ろを着いていく

幼い頃の私









．









私達は大変仲の良い兄妹だった

………はずなのに


一体いつ、道を間違えてしまったのだろう









どうして私はお兄ちゃんに

こんな気持ちを
抱いてしまったのだろう




なぜ普通じゃないんだろう








．









はっと目を覚ますと
外はすっかり暗くなっていて


付けっぱなしにされたテレビの音だけが
部屋の中に鳴り響いていた








「……寝ちゃってたのか」




今日は2年生だけ早帰り


家に帰ってくるなり
ソファーに身を投げ捨てて

そのまま熟睡してしまっていたようだ








．








お兄ちゃんが帰ってくる前に部屋に戻ろう





そう思い
体を起こそうとした瞬間


ガチャっとリビングの扉が開く音が聞こえ



咄嗟にソファに寝転び目を閉じて
寝たふりをした








．









…しまった。

起きるタイミングを見失った



お兄ちゃんが部屋に戻るまで
寝たふりをしておこう。









そう思い目を瞑っていると

お兄ちゃんの足音は段々と近づき
私の眠るソファーの前で止まった








．









"………？"









突如、頬に添えられた冷たい手

私と同じシャンプーの匂い

唇に当たった柔らかい感触





チュッと音を立てて離れた何か









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『ごめんな』

耳に入ってきたお兄ちゃんのか細い声







虚しく音を立てて閉ざされた扉を背に


私はしばらくの間
その場から動くことが出来なかった





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