45話 by朔原 凛 ページ45
ハッと目を開けると、外は真っ暗闇。
時々、満天の星空がチカチカと辺りを照らし出し、体育館の窓から差し込む月明かりは、誰が見ても感嘆のため息を吐くほど神秘的であった。
これだけ暗かったら、皆自室で休んでいるだろう。
それに…あいつに無理矢理精神乗っ取られて、倍くらい疲れてる。
「…戻ろ」
そう1人呟き、体育館を足早に出ると、何やら見知った人影が目の前を横切る。
「すみれ…さん」
一定の歩幅を保って階段を上ってゆく。屋上に向かっているのか。
「…」
「あれ、どうしたの凛くん?」
…どうして俺はすみれさんを追っかけて来たのか。
「…話したい事がある」
「…うん、いいよ」
こいつに『助けてほしい』って。
思ったのかな。
「…俺は今、最下位争うくらいの頭だけどさ。
本当は俺、中学の途中まで常連トップだったんだぜ?笑えるだろ?
…俺んち、本当に家庭が複雑で。
女みてぇな名前なのも、両親が俺の事、女だと思ってたみたいでさ。
そのせいで毎日毎日、何を頑張っても『女だったら』って…。
俺は、さ。
多分両親に、生まれて来た事さえも歓迎されてなかったんだよ。
そんで父さんが死んで、母さんは毎晩酒と男に溺れてさ。
最終的には俺にまで…」
そこで口はつぐんでおいた。
すみれさんも絶句したような顔してたから。
「…わりぃ、場悪くしたよな。
んなドン引きすんなよ…やってねぇから。
…知らない間に家燃えてたけどな」
辺りに広がるのは真っ黒に焦げた家の残骸。
焼死体の上の俺を見て、近所の人達はどう思っただろう。
「…ま、それはもう終わった事だからどうでもいいんだけど。
…あいつの…愛依の…事なんだ。
あいつは、俺を鈴夢に入れようとしてる。
鈴夢は魔法の強化を第一としてるし、勉学も必要ない。
正直…」
あぐらの上で組んだ手が震えているのが分かる。
怖いんだ。
「鈴夢に転校した方が…良いんじゃないかって思ってる」
もし『いいよ』って言われたら?
「俺1人くらいいなくなったって、そんな変わんねぇよ。
お前だって毎日怒鳴られないで済むぜ?」
あーぁ、何言ってんだ俺。
「だからさ…
この合宿が終わったら、生徒会でちゃんと考えてみてくれよ。
俺の気持ちなんて別に考えなくていいからさ」
俺は、お前らに従うから。
あぁ、すみれさんは何て言うだろう。
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繋げさせていただきました…!
お願いしますm(_ _)m
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ねこうさぎ(プロフ) - 更新しました。あと、話数が一杯なので続編に繋げてください。 (2015年11月14日 9時) (レス) id: 927634d6aa (このIDを非表示/違反報告)
しのっち(プロフ) - ねこうさぎさん» ・・・・え・・・・じゃあ、消える可能性が高いですね・・・僕のが・・・・その時はもう一回書きます・・・・ (2015年11月13日 22時) (レス) id: 56a4443702 (このIDを非表示/違反報告)
ねこうさぎ(プロフ) - しのっちさん» あ、すみません…今私が更新している途中なのですが… (2015年11月13日 22時) (レス) id: 927634d6aa (このIDを非表示/違反報告)
しのっち(プロフ) - ・・・・更新致します・・・・ (2015年11月13日 21時) (レス) id: 56a4443702 (このIDを非表示/違反報告)
ノア(プロフ) - しぃふぁさん» ハードル上がった気分ですw脳筋の頭で一生懸命考えてみます(笑) (2015年11月13日 20時) (レス) id: a5e70fbf84 (このIDを非表示/違反報告)
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