23話 by神代 朔 ページ23
「……次は僕で良いですか?」
事前に貰った白いリボンを手首に巻きながら、すみれちゃんに声を掛ける。
「もちろん良いよ、朔。それじゃあ、始めるよ……手加減は無しって事で!」
【ハルフール・フラワー】と彼女が叫ぶ様に言った瞬間、僕の目の前迄魔法が迫っていた。
「…!【赤の女王】…すみれちゃん…いきなり魔法は酷いですよ?危ないでしょう?」
跳んで避けると同時に一気に重力のベクトルを変化させて、体育館の壁に立つ。魔法を使って真横に重力を掛ければ、こんな芸当だって出来る。
そして、僕はとぼけた様に飄々と言う。道化の様にして、人が笑っていてくれれば良いのに。辛い事なんて忘れてくれれば良いのに。
そんな願いが簡単に叶う事は無いと自分でも分かっているのですが。
「ふざけて逃げてばかりじゃ、私は倒せないよ?【パレット・ドール】」
すみれちゃんの魔法を、壁と天井を走りながら避ける。
別に好き好んで逃げている訳ではないのだけど。隙が無さ過ぎて攻撃出来ないだけで。
もう、奥の手を使うしかありませんかね。
「【不思議の国のアリ_____……」
……あぁ……やっぱり使えない。『あの時』の光景が脳内に広がって。怖くて怖くて堪らない。
体の震えを隠す様にマントの裾を強く握る。でも、一瞬とは言え、動きを止めた相手を敵が見逃すことは無い。
「此れで終わりだよ…【パレット・ドール】!」
だからって、僕もそう簡単に負けるつもりはない。
「……【偏狂の帽子屋】」
魔法の破壊の対象はすみれちゃん_では無く、窓硝子。彼女に効かないのは、自分への魔法だけ。
予想通り、降ってきた硝子の破片を見て焦ったすみれちゃんは、意識を其方へ移した。瞬時に飛び退いて魔法で硝子を吹き飛ばすまでは想定内。
一気に距離を詰めて紫のリボンを解く。
「……引き分け、ですか」
勝てるとは思っていませんでしたが、同時にリボンを切るとは…
いえ、此れは僕の負けですね。少しだけ僕の方が遅かったから。
「窓硝子、割っちゃってすみません……まだ、此処に来ていない人の事を探して来ます」
無理矢理理由を作り、体育館から逃げ出す。あんな空気が重い処に居たくない。
「如何して…勝ったのにあんな顔するんですか……すみれちゃんだけじゃ無くみんな…何でそんなに悲しそうな顔してるんですか……」
________
勝手に東城家の窓硝子割ってすみません…
朔の過去も、そろそろ書きたいと思います。
何方か繋げてくださいませ。
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ねこうさぎ(プロフ) - 更新しました。あと、話数が一杯なので続編に繋げてください。 (2015年11月14日 9時) (レス) id: 927634d6aa (このIDを非表示/違反報告)
しのっち(プロフ) - ねこうさぎさん» ・・・・え・・・・じゃあ、消える可能性が高いですね・・・僕のが・・・・その時はもう一回書きます・・・・ (2015年11月13日 22時) (レス) id: 56a4443702 (このIDを非表示/違反報告)
ねこうさぎ(プロフ) - しのっちさん» あ、すみません…今私が更新している途中なのですが… (2015年11月13日 22時) (レス) id: 927634d6aa (このIDを非表示/違反報告)
しのっち(プロフ) - ・・・・更新致します・・・・ (2015年11月13日 21時) (レス) id: 56a4443702 (このIDを非表示/違反報告)
ノア(プロフ) - しぃふぁさん» ハードル上がった気分ですw脳筋の頭で一生懸命考えてみます(笑) (2015年11月13日 20時) (レス) id: a5e70fbf84 (このIDを非表示/違反報告)
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