【小説版】華夢学園 強化合宿編

12話by東城すみれ ページ12

＿＿＿＿＿＿＿＿＿スミレの花が風に揺れる。

「はぁ…」

フードを深くかぶって猫を抱きしめる。
猫はおとなしく私の膝で撫でられていた。

生徒会室から抜けてきて私は真っ直ぐ中庭へと向かって歩き、いつも通り猫を抱きしめていた。
…なんで私服OKにしちゃったんだろ。
なんで私も出なきゃいけないの。

「…嫌だ」
ポツリと呟いた言葉は風にさらわれて消えて行った。

私はここの学園にいてどれだけ息が詰まったことか。

3年生は覚えているだろうか、2年前の龍季祭での死亡生徒のことを。

私がテストの赤点常連メンバーだったことを。

…合宿だって、私は行きたくなかったのに。

「…考えるのやーめよ」

ブンブンと頭を横に振る。
目から流れそうな涙を振り払うように立ち上がって強く右手を握る。
…無理をしている時の私の癖だ。

知っている人は知っている。

それだけ私はわかりやすいのだから。

それだけ私はテンプレートのように作られた人間だから。

人間らしさなんて求めてない。
もう先輩は居ないのだから。

…あぁ、もう消えてしまいたい。

落ち込んでいる私を誰かが見ていたなんて気づかなかった。
＿＿＿＿＿＿＿＿＿＿＿＿＿＿＿＿＿＿
突然のシリアス((
次の話で合宿前日まで飛ばしてください！

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