#008 ページ8
家の前に着いて、ドアノブを握ると、
「いたっ…」
もう夏だって言うのに、季節外れの静電気が生じて指先がびり、と痛んだ。
.
扉を開けると、なんだか落ち着かない匂いが私の鼻をかすめた。自分以外の誰かの匂いってやつ。
その時点でもう勘づいていたけれど、玄関に置かれている私のものじゃない高いヒールの靴を見て私以外の女がいると確信した。
そんな作り話みたいな修羅場を自分がまさか体験するなんて思っていなかったけれど。
「あれ…」
リビングに行ってもテヒョンと“誰か”の姿は無くて。
その事が逆に私に変な胸騒ぎをさせて。怖かった。本当に私はもうテヒョンにとっていらないんだって言われそうで。
だけど、体は言うことを聞かなくてただ一つ思い当たる場所へと歩みを進めていた。
.
.
寝室の扉の前に着いて、息が止まりそうになった。
動悸がして、聞きたくないはずなのに聴力が研ぎ澄まされたように部屋の中の音が聞こえてくる。
“ぁっ…テヒョンっ…まって、、っ!”
女の人の嬌声と、時々聞こえるベッドが軋む音。
テヒョンが外でこういう事をしていたのは知っていたけど、実際自分の目の前で起きてると思うと頭がおかしくなりそうだった。
もう、我慢するのはやめた。テヒョンとの関係なんてどうなったって構わない。
どうにも我慢が出来なくなって、私は開けてはいけない扉を開けてしまった。
「なに、してんの…」
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作者名:ぽんた | 作成日時:2019年4月10日 21時