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朝、目が覚めると昨日消したはずのリビングの電気がついているのが見えて久しぶりに彼が帰ってきた事を知らせた。
寝室のドアを開け、リビングへと歩いていくとそこには、どうしようもないくらい腹が立ってどうしようもないくらい大好きな彼が佇んでいた。
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開かれたドアを反射的に見た彼は、私の姿を見るとすぐさま駆け寄ってきて、
『会いたかった。』
そう言って、私の身体を抱きしめる。
会いたいならもっとちゃんと家に帰ってきてよとか、本当は外に女の子がいるんでしょとか。言いたいことが本当はたくさんあるはずなのに、私の口から出る言葉はきまって、
「私も、すっごく会いたかった。」
この言葉しか出ないから私は自分で自分が嫌になる。
結局は、彼さえ目の前にいてくれればそれまでの事なんてどうでも良くなって、今までのどんより曇った心の中が驚くくらい一瞬で晴れていく。
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『仕事が立て込んでて、たまにしか帰ってこられなくてごめんね。』
本当に申し訳なさそうな顔をして謝る彼に惑わされそうになるけど、私は知ってるんだよ。
同い年で仲が良いジミンとは、彼と結婚する前からジミンが暇な時に時々電話するくらいの仲で、最近もよく電話をしている。
その時にジミンが、最近はだいぶゆっくり仕事ができているんだ、と話していたから。
「あのさ、ジミンがこの間、今はあんまり忙しくないって言ってたけど…?」
私のその言葉を聞くと、彼は一瞬だけ顔つきを固くしたけど、すぐに表情を取り繕って、
『俺とジミンは、同じグループだけど仕事の内容は少し変わるからね。』
なんて、少し笑いながら言った。
彼が呆れるくらい見え透いた嘘をつく度に私の心はどんどん彼を信じられなくなっていく。
どうしてそんな嘘をつくの。
それは、やっぱり私に知られたらまずい関係の誰かがいるから?
あなたはもう、私には一ミリも興味がないの?
そんな想いが溢れ出して爆発しそうだ。
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作者名:ぽんた | 作成日時:2019年4月10日 21時