新たな一歩 ページ38
テヒョンくんがこの世を去ってから明日で丁度丸10年。
この10年で私は、大学に進学して、社会人になって、忙しい時期が多かったけれど、それでもテヒョンくんの事を忘れたことは一度も無かった。
ふとした時に思い出すテヒョンくんの温もりが恋しくなって、なんの前触れも無しに泣いた事も何度もあった。
「テヒョンくん、あのね、」
「私、結婚するんだ。」
テヒョンくんがこの世から居ないと頭では分かっていても、他の人を好きになるなんて選択肢は私には無かった。
それくらい、ずっとずっとテヒョンくんが大好きだったから。
.
.
「ミンユンギさんって人。テヒョンくんとは全然違うタイプの人で普段は冷たそうな人なんだけど実はテヒョンくんと同じくらい優しいの。」
だから、きっと私はユンギさんの事を好きになったんだと思う。
二人の優しさは、どことなく似ているものがあるから。
「テヒョンくんの事を話すと、またそいつの話かって言われるんだけど、だけど全部ちゃんと聞いてくれるの。
それに、今度俺も会いに行きたいって言ってくれたんだよ。」
それまで、私に好意を寄せてくれていた人たちにテヒョンくんの話をすると大抵の人は、居ない人を想い続けている重い女みたいなレッテルを貼って逃げていった。
だけど、ユンギさんは一度も引いたりすることも無くて、例え私がテヒョンくんの話をしても全部聞いてくれて、私にとってテヒョンくんが忘れられない人だっていうのを分かった上で私を好きでいてくれている。
「私、ちゃんと良い人見つけたから安心してね。テヒョンくん。」
.
テヒョンくんと過ごした49日間は、きっと人生で一番大切な時間だと思う。
まだ、30年も生きていないけれどこれだけは分かる。
テヒョンくんに今まで伝えたかった事を話していると時間なんてあっという間に過ぎてしまって。
「あ！これから、ユンギさんと家具見に行く約束してたんだ。
また来るね、テヒョンくん！」
テヒョンくんに手を合わせて、おばさんにも挨拶をして慌てながら家を出た。
.
外は、雲一つない綺麗な快晴の空で。
軽い足取りで一歩踏み出すと、
━━━━━━おめでとう、Aちゃん。
風に乗って、テヒョンくんの声が聞こえた気がした。
『リセット』Fin.
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ぽんた(プロフ) - ぽちさん» ぽちさんコメントありがとうございます。新作の方はまだ5話までしか更新できていないのですが、嬉しいお言葉過ぎてなんと言ったらいいのか…これからも更新頑張りますので応援よろしくお願いします！ (2019年4月17日 16時) (
レス) id: 37955dd72d (このIDを非表示/違反報告)
ぽち(プロフ) - 初コメ失礼します☆(それでも…)がオススメに出てきて読ませていただいて、ガッツリハマってしまい、他の作品を一気見させていただきました^ ^これからも作者様の新しい作品に出会えることを楽しみにしてます☆ (2019年4月17日 8時) (レス) id: 8ba320eacd (このIDを非表示/違反報告)
ぽんた(プロフ) - ななペコさん» ななペコさんコメントありがとうございます。個人的には出来上がりが不安だったのですが、そう言って頂けると本当に嬉しいです。テストが終わったら新作出しますので、少々お待ち下さいませ！ (2019年3月6日 0時) (レス) id: 37955dd72d (このIDを非表示/違反報告)
ななペコ(プロフ) - お疲れ様です。きみとなの次の新作アンケートからずっとこのお話が気になっていたのですが、本当に今回も期待を裏切らない凄く良い作品で、感動しました(T T)世界観に引き込まれるような、身近さがあって、本当に楽しませて頂きました…新作、楽しみに待っています！ (2019年3月4日 0時) (レス) id: b3b044afea (このIDを非表示/違反報告)
ぽんた(プロフ) - ナンとカレーさん» ナンとカレーさんコメントありがとうございます。ガチ泣きだなんて…なんて嬉しいお言葉…新作も準備中ですのでこれからもよろしくお願いいたします！ (2019年3月1日 2時) (レス) id: 37955dd72d (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：ぽんた
| 作成日時：2018年12月28日 23時
