きみの隣。TH (ページ9)

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なぜ、テヒョンさんがここに？という疑問しか頭の中に浮かばなかった。

うちの店はお世辞にも高そうなお店とは言えないしどちらかと言えば親しみやすいごくごく普通のご飯屋さん。

「とっ、とりあえず奥の個室に移動してください！」

今は人がいないからいいけど、万が一ここにテヒョンさんがいるなんてバレてしまったらお店が大変な事になるだろうし、テヒョンさんだってきっとバレたくないと思う。

素直に私の後ろを歩く彼を数少ない個室の中の一室に案内する。

個室がある店で良かった…とつくづく思う。

『君、ここで働いてるんだね。』

普通に会話を続けようとしているテヒョンさんが不思議でならなかった。

だって、普通に考えてサイン会にいたって事はファンであること確定なのにどうしてこんなに普通でいられるんだろう。

それに、そもそも私のことをなぜ覚えてるの？

「私の事、覚えてるんですか？」

『うん、覚えてるよ。』

「どうしてですか？」

もしかして、帰る時のあの対応がやっぱりダメだったのかと思う。

『君さ、最初からなんか他の子と雰囲気が違くてまずその時点でちょっと気になってたの。』

『多分、ファンじゃないんだろうなってなんとなく思ったのと帰る時に急に顔色悪くなったから大丈夫かなって気になってたんだ。』

ファンでない事がバレていたことを聞いて死ぬほど恥ずかしくなったのと、

私の事を心配してくれていたという優しさで心が暖かくなったり私の気持ちはとても忙しかった。

『なんで、あの時あんな顔したの？』

いきなり踏み込んできますね、テヒョンさん。