いちばんのバケモノ【QK】

なんだかんだ優しい社長 ページ3

(中村 side.)





伊「Aー、一緒に買い出し行くぞ」


『あいよ〜』


今日はとってもいい天気。


ぽかぽかだね！


『行ってきまーすっ！』


伊「なんか一段とルンルンだな」


『へへ、こういう日は外がいいよね〜』


伊「まぁな」


いつものスーパーに来て、ひと通りメモの分はカゴに入れた。


…あ！


『よっ』


伊「あっコラ、勝手にプリン入れんな」


『あで！』


伊沢くんから軽くチョップをくらう。


『いーじゃないの、こうちゃんたちにもあげるんだから〜！！』


伊「前そう言って全部ひとりで食べたのはどこのどいつだよ」


『うっ…』


伊「まーいいわ、トイレ行ってくるからカゴ持ってて」


『はーい』


伊沢くんが回れ右をしてトイレに向かった。


『…ふふふ』


チャンスッ！


今のうちにお菓子いっぱい入れちゃえ！


私はスキップでお菓子売り場に行く。




じゃがりこと、グミと、ポッキーと…、


『…やば』


こんなに買ったら福良さんに怒られちゃうな。


そう思いながらも私はカプリコを手に取る。


伊沢くんはなんだかんだ言って買ってくれるしなぁ。


男1「ねーねー、君お菓子が好きなの？」


『はい？』


知らない男の人にそう訊かれた。


そのとーり、私はお菓子が大好きなのだ！


『そうですよ、大好きです！』


男2「へぇ、てか君ちょー可愛いね。」


男3「俺らがもっとお菓子買ったげるからさ、俺らと一緒に来てよ〜」


え、もっと！？


『ほんとですか！？ぜひっ…むぐ！！』


途端に後ろから右手で口を塞がれた。


伊「お引き取り願えますか？」


…伊沢くん、声が怖いよ。怖すぎるよ。


「「「…ハイ」」」


3人はぐるんと背を向けて走っていった。


…そろそろ手を離せっ！


『いふぁふぁふん、ふるしい！』
(訳:伊沢くん、苦しい！)


伊沢くんはスっと右手を離した後、私の両肩をがっちり掴んで回転させ、向かい合う形にさせた。


伊「お前なぁ…変な知らない男の口車に乗せられんなっていつも言ってるだろーーが！！｣


『ひぇ…だってお菓子いっぱい買ってくれるって…』


伊「それを口車って言うんだよ！！」


『ご、ごめんなしゃい…』


伊「…あーもう、そこのカゴのお菓子全部買ったるから、今度から気を付けろよホントに…」


『やったぁ、伊沢くん大好き！』


伊「(…くそ、可愛い…)」


やっぱり伊沢くんはなんだかんだ優しいなぁ。



あのあとオフィスで事を話したら福良さんにめちゃ怒られた。

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