〜６〜 ページ6
「大丈夫？」
本当に不思議だ。
なぜなら、私が助けたはずの男性の部屋が、
目の前にあるのだから。
「あ、あの...ありがとうございます。」
私は小声で彼にそう言った。
「歌...好き？」
私がぼーっとして考えていると、
急に彼から話しかけてきた。
「え...あ、はい。っていうか、仕事みたいな感じなので。」
嫌なことを思い出す。
もうやめようと思っているんだから、わざわざこんなこと言わなくてもいいのに。
すぐさま訂正しようとすると、
「まさか、歌い手...とか？」
彼はまた質問を投げかけた。
なんでこの人はピンポイントに当ててきたんだろう。
歌関係の仕事と言っても、数えきれないほどあるのに。
不思議に思いながらも、私は静かにうなずいた。
でもこれでは彼に嘘をついているような感じがして、
重たい口をゆっくり開いた。
「でも...もうやめようと思ってるんです。
目標も何もなくて、そもそもこの仕事の楽しささえも分からなくなってしまいました。」
私がそう言うと、彼は少し悲しそうな顔をして、
「そうなんだ...」
静かにそう言った。
その後は沈黙という地獄。
っていうか、私人見知りなんだということを、今更ながら思い出した。
今日初めてあった人と会話なんて、あるわけがない。
このまま気まずいのもあれだったので、
「あ、じゃあこれで失礼します...」
私はそう言ってベッドから立ち上がった。
「...助けてくれてありがとう。気を付けてね」
そう言われたが、彼は俯いていて肝心な表情が見えなかった。
私は一つお辞儀をし、その場を離れた。
なんで、私を見つけてくれたんだろう。
あんな小さな公園なのに。
たまたま通りかかっただけなのかな...
そして、さっき見た夢。
いつもなら、起きてしばらく経つとその日見た夢なんて忘れちゃうのに。
今でも鮮明に覚えてる。
あの不思議な感覚が、まだ頭に残ってる。
どうして？
そして何よりも、
彼の家から遠ざかるにつれて、胸が締め付けられるのはなんで？
寒さのせいじゃない。
次々に浮かび上がる疑問が、
一本の線ですべて結びつくのは、
まだだいぶ先の話だ。
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よしな - とっても面白いですね！これからも頑張って下さい！更新楽しみにしております！ (2017年9月18日 9時) (
レス) id: 8444393bfc (このIDを非表示/違反報告)
ちーちゃん - にゃ！？って叫んでて親に「なにしてんの」って言われた。私もそんなことあります！親に空気みたいな扱いされて、でも誰にも相談できなくって、いつも他の人が心配するからって自分に「笑っとけ笑っとけ！」って言ってた(笑)って愚痴ってすいません。頑張って下さいね！ (2017年9月12日 20時) (レス) id: b018cf85ec (このIDを非表示/違反報告)
つぶつぶメロン - 皆さんコメントありがとうございます！更新遅くて本当にごめんなさい...評価9,9点で99票...奇跡ですか？100票目を楽しみにしています！ (2017年8月30日 22時) (レス) id: 6872ac4879 (このIDを非表示/違反報告)
miana - なんか、読んでて凄くドキドキします！夢主ちゃんがお母さんに反論したところとか、まふくんが助けに来てくれたところとか、全部ドキドキしました！続き頑張ってください！ (2017年8月18日 8時) (レス) id: 376d521097 (このIDを非表示/違反報告)
雨音@ねむり猫の何でも屋(プロフ) - うわぁ…！凄い素晴らしい作品ですね…！なんか読んでて涙出てきちゃいました…まふくんの言葉が心に響いちゃって…単に私が弱いだけなんでしょうけどね。更新頑張ってください！応援してます！今後の展開も楽しみです！長文失礼しました！ (2017年7月29日 3時) (レス) id: 8334af748d (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：つぶつぶメロン | 作成日時：2017年3月6日 21時
