魔法使い様とパン屋のお兄さん ページ6
探偵社からちょっと遠い所にある茶屋で、いくつか菓子を買った帰り道。
僕は、完璧に迷子になっていた。
「………否、これは迷子なんかじゃない。敢えて!そう、敢えて可愛い猫を追いかけただけ…だから。うん……。…………ここどこぉ…?」
成人して二年。
こんな、乱くんみたいなことすると思ってなかった…。
「ここ暗いし…、迷路みたいなとこ入っちゃったなぁ。……あ、携帯!」
ポケットに入っていた携帯電話の存在を思い出して、急いで画面を見る。
「……充電が、1%とか…そんなことある…?」
本格的に危ないと感じ始めた頃、後ろから誰かに見られている気がしてそっちに向く。
「……誰?あの阿呆じゃない…よね?」
「……えっ、と。私と君は初対面だと思いますよ…??」
曲がり角からひょっこりと顔を覗かせたのは、灰色の髪に白いダイヤ型のピアスとピンを着けた綺麗なお兄さんだった。
「…………助けてくださいいい!!!」
「ええええ??!!?」
「迷子…ですか。此処は馴れていない人には少しややこしい道ですからね」
「……僕が猫を追いかけちゃったのもあるんですけどね…」
パン屋を営んでいるというお兄さんに出口まで送ってもらえる事になり、そこまでの道中少し話す。
「ふふふ、それは可愛らしい理由ですね」
お兄さんはそう云って、白手袋で素肌が隠れた手で口を隠してくすくすと優雅に笑う
「お兄さんは此処の近くに住んでいるんですか?」
「そうですね、この道を真っ直ぐ行くと家があります。…君は、何をされているんですか?」
「探偵の助手みたいなもの…ですね。ワトソンです。」
調査員がほとんど依頼を解決するので、僕の立場は本当にそういったものだろう。
ホームズは勿論乱くんたちだ。
「へぇ…!なんだか小説みたいですね!私、結構推理小説とか読むのでそう云うの憧れちゃいます!
……おっと、楽しい時間はあっという間ですね…」
正面を向くと、見慣れた大通りで人がたくさん歩いていた。
「ああああ…!もう二度とこの街並みは見れないかと…!これはなんとお礼すれば!ありがとう…」
ございます、と後ろを振り返ればそこにはもうお兄さんの姿もなく、ずっと感じていた多数の警戒を含ませた視線もいつも間にか消えていた。
……大通りに出てから、いつも感じている日向の莫迦みたいに無遠慮な視線は突き刺さっていたが。
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魔法使い様、ドスくんと一緒に水族館に行く→←日向は、ちょっとあれだった
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虚(プロフ) - とてもドストライクな作品で、一気に読んでしまいましたっ!お気に入り失礼しますっ!更新幾らでも待ってますっ! (2020年3月26日 14時) (レス) id: 7c0e52b0b9 (このIDを非表示/違反報告)
ロト - 文スト大好きな人間さん» 面白いと言っていただけてとても嬉しいです!!温厚で少し天然な人が毛嫌いする人をイメージして作っていたらいつの間にかこうなりました…。更新はなるべく頑張ります! (2019年9月30日 22時) (レス) id: 84710b8cd8 (このIDを非表示/違反報告)
文スト大好きな人間(プロフ) - 最高に面白かったです!特に夢主の兄はヤバい。ホントもう語彙力が崩壊するほど、笑わせて貰いました!更新楽しみに待ってます!これからも頑張ってください!応援してます!! (2019年9月30日 3時) (レス) id: c3ce5e2931 (このIDを非表示/違反報告)
ロト - フミヤ,mstr-d(旧ミストラ〜ド)さん» わあああ!!面白いって言っていただけて嬉しいです!!応援ありがとうございます!!お兄さんは…残念ながらお医者さんが黙って首を横に振るレベルの人なので…… (2019年8月24日 23時) (レス) id: 84710b8cd8 (このIDを非表示/違反報告)
フミヤ,mstr-d(旧ミストラ〜ド) - 夢主の兄さん凄ぇ……(←感心するところが違う) 未成年の前で堂々とR18な内容を言って来る辺りマジ尊敬しまs((((面白くて大好きです!更新頑張って下さいね!!ι(・ω・´ι*) (2019年8月23日 17時) (レス) id: b0787012e0 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:ロト | 作成日時:2019年8月16日 14時