【文スト】魔法使い様は＊＊なようです【男主】

魔法使い様、父親と再開する ページ12

目を開けると、豪華な装飾をされたふわふわな椅子に座らされていた。


辺りを見渡せば、絢爛豪華で見るものを魅了するような家具が一通り揃えられた部屋。


そして目の前には、実の父親が立っていた。


本っ当に最悪だ。


「久しぶりだな、A」


そう云ってにこりとも笑わず、僕を見てくる彼奴にヘドが出そうだ。


「僕は永遠に会いたくなかったんですけどね。………あんたがお母様にしたこと、忘れたなんて云わせないですよ」


「ああ、俺もお前が静江にした事を一日たりとも忘れなかったぞ」


努気を含ませた物言いに腹が立つ。

まだこいつは…


「本当に救いようがないですね、もう少し反省されては？」


「ここまで自由にさせてやった親にその態度……愚息子め」


「………はああああああ………」


疲労感からため息を溢す。


何故…何故こうも家族が面倒臭い人ばかりなのか。

これなら治くんと中也くんが目の前で喧嘩しているのを止める方が楽だろう。


そういえば、今日のこれは有給扱いなんだろうかと思い乍ら口を開いた。


「日向も日向ですけどあんたも相当阿呆と云うか莫迦と云うか……」


「………何が云いたい」


「その雷親父みたいな喋り方元に戻してくれません？ここに来る前に魔法で人の心を読む事が出来るようにしておいたんですよね」


「………………………………」


沈黙。

人の心を読む、と云うのは嘘だ。

一度してみたら情報が一気に頭に入ってきて吐いたので若干トラウマなのである。


それはそうとして、息をしているのかと心配になるほど動かなくなった父親に何か話かけようかと思い初めたその時。


「…………反抗期…？」


「違います」


「でも、こんなに格好いいパパ見てちょっと冷たすぎないか？大丈夫なのか、頭」


「かっこよくないです。それにさりげなく息子莫迦にしてますね」


「いやだって俺の遺伝子が強い日向は格好いいだろ？つまり俺は格好いい。お前は静ちゃん似だから可愛い」


「…………うわぁ……」


口を開けば自画自賛。

外見は確かに役職を俳優と答えても騙せるほど良い。


だが、中身は残念な事にナルシストで元ヤンデレな阿呆である。


まったく救いようがないにも程がある。


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