【魔法科高校の劣等生】短編集【男主】 (ページ4)

今日:2 hit、昨日:2 hit、合計:7,851 hit

沢木×男主(地震・火事) ページ4

2094年 10月23日。

新潟中越地震から90年の節目を迎えた今日、現代技術でも予測不能な規模の地震が起こった。

震源は首都直下。

今年晴れて第一高校に入学を果たしたAは、今必死に駆けている。

何故かというと、乾燥した時期に地震が起きたため火事が多発し、それを魔法で鎮火しているからだ。

(これで・・・何軒目だ?)

もう息は切れ、想子の枯渇によりもう一回も魔法を使えないほど疲労していた。

しかしAは、ある一軒の家が燃えているのを見て、呆然と立ち尽くした。

「碧っ・・・!?」

燃えていたのは、幼馴染みの沢木の家だった。

家の中からは、人の気配がする。

Aは熱いのも構わず、家に突っ込んだ。

人の気配がするのは二階だ。

焼け落ちかけた階段をかけ上がる。

「Aっ・・・!?」

Aが見たのは、タンスに脚を挟まれて動けない、沢木の姿。

「碧っ・・・碧!!」

Aは幸運にも(不幸中の幸いだが)燃えていなかったタンスをいとも簡単そうにどかすと、沢木を助けた。

そして何を思ったのか脱出しようとするAを止めた。

「待ってくれA!!まだ母さんが!!」

「っ何!?」

「俺は自分で満足に歩けない・・・A、母さんだけでも連れて、逃げてくれ」

その沢木の言葉を聞いてAのなにかが切れた。

「馬鹿っ!!!!!そんなこと言うんじゃねぇ!!!俺っ・・・俺はっ!!!碧が居ないとっ・・・生きていけねぇんだよっ!!!」

Aのその言葉に、沢木は目を見開いた。

「・・・なんだ、Aもか」

「は?」

こんな状況だというのに沢木が言いだしたことの理解ができなくて、Aは思わず問い返した。