【魔法科高校の劣等生】短編集【男主】 (ページ13)

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沢木×男主(握力測定) ページ13

今日は握力測定の日。

今年こそ碧を越えてやるんだ!

毎年、碧は100kg近い記録を出す。

それに対して僕はいつも80kgそこそこ。

それでも皆はすごいと言うけど、僕にとっては碧に勝たなければ意味は無いんだ。

僕と碧は家が隣で、生まれたときからそばに居たらしい。

だけど僕はそれから今まで、一回も碧に勝てたことがない。

50m走は碧の方が一秒近く速いし、

長距離走も、三分と少し碧が速い。

その他身体テスト関係で、僕は碧に勝てない。

でも、一回でいいから、勝ちたいんだ。

大好きな、碧に。

男同士で気持ち悪いって思う人も居るかもね。

でも僕は、碧が好き。

だからこそ、勝ちたいんだ。

僕は今日勝てたら、碧に告白するつもり。

けど、僕は、

負けた。

碧は98kg、僕は95kgだった。

僕は無様にも、碧の前で泣いてしまった。

「A・・・っ!?」

碧は僕の涙を、拭ってくれた。

碧は僕を、抱きしめてくれた。

少し僕が落ち着いたところで、碧は僕を離し、口を開いた。

「A、・・・好き」

僕は耳を疑った。

嘘かと思った。

でも、碧は僕を真っ直ぐに見つめてきて、嘘じゃないことが痛いほど伝わってきた。

「僕は大好きだよ」

また涙が溢れてきた。

今まで碧に勝つためにやってきた全てが、報われた気がした。

泣いている碧に後頭部を優しく押さえられ、唇と唇が重なった。