魔法科高校の劣等生 (ページ40)

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『…達也、CAD片付けるの手伝う』

「…ああ、ありがとう」

本当はCADに触れてみたいの、なんて言わずに手だけ差し出す

達也は最初訳がわからない、という顔をしたがどうやらコンマ数秒で理解したらしかった

私の手の上にCADを乗せてくれる

『思ったより軽いんだね
もうちょっと重量あるのかな、って思ってたけど』

「AもCADに興味があるのか？」

『うーん
私はCADじゃなくて、トーラス・シルバーの方に興味があるの』

「…へえ、意外だな」

『出来れば、死ぬまでに一度会ってお話ししてみたいと思ってる』

「ますます意外だよ」

バーンと撃つ真似をしたりして遊んでいると、中条先輩からの視線が痛いので急いでケースに戻した
ガックリしている姿はかわいそうだが仕方がない

私も中条先輩に対する態度がひどいな、と思いながら心の中で謝っておいた

達也はカートリッジを入れ換えたり、セキュリティを再設定したりしている

その背中を見つめる視線もどうやら無視しているようだ

『深雪が手伝いたそうにしてるけど』

「深雪はあまり機械に強いほうじゃなくてね
しかも、俺のは並大抵の高校生が扱えるような代物じゃないからかえって時間が掛かる」

と小さな声で教えてくれた

で、やっと言い終えたらしい

副会長が近づいてくる

達也は振り向く気はないようなので私が一歩、前に出る

「朱鷺宮さん
生徒会副会長という役職に就いていながら、差別用語を使ったり、君のことを蔑んだり…力がないと言ったり、本当に申し訳ない」

いや、まさかそんな台詞が聞けるとは思っていなかったので私は少し、背筋を正した

『いえ、私の方こそ、年上の方に失礼に値する態度と言動
どうかお許しください』

深々と頭を下げて謝る
因縁は残したくないので、ここは素直に謝るのがいいだろう

顔を上げると副会長と目が合う
そこで私は初めて、副会長の異変に気がついた

というか、絶句した

ななななんで、お顔が赤いんですか副会長！？

と一人訳が分からずあたふたしていると、隣の達也がおもむろに振り向く

そして、見てしまったのだろう

私に注がれる視線を

達也は申し訳なさそうに、私の一歩前に出てくれた

副会長からの視線が途切れる

後ろにいる深雪の方に振り返ると
深雪も心底驚いていた

いや、一番驚いているのは私だ

なんだか恥ずかしくなって深雪の胸に飛び込んだ