魔法科高校の劣等生 (ページ37)

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しかし、流石は会長
新たに魔法を学ぶ者としての見地から疑問を呈する

「Aさんが最初に放ったのは、私達がこの前見たものと同じよね？
では、達也君の攻撃に使った魔法も忍術ですか？
私にはサイオンの波動、そのものを放ったようにしか見えなかったんですが」

他の魔法師が使った非公開の術式について、その仕組みを詮索することはマナー違反とされている
しかし、自身の得意魔法としてサイオンの弾丸を駆使する会長にとっては、物理的な作用を持たないはずのサイオンそのものを武器にしたように見える達也の攻撃が一体どのようなメカニズムで副会長にダメージを与えたのか、興味を抑えられないらしい

「忍術ではありませんが、サイオンの波動そのものというのは正解です。
あれは振動の基礎単一系統魔法で、サイオンの波を作り出しただけですよ」

「しかしそれでははんぞー君が倒れた理由が分かりませんが…」

『酔った、のよね？』

「A、流石だね
そう、副会長は酔ったんですよ」

「酔った？何に？」

「サイオンの波に、です
まぁ、錯覚させただけなんですが」

「そんな、信じられない……
魔法師は普段からサイオンの波に曝されて、サイオン波に慣れているはずよ。無系統魔法は勿論のこと、起動式だって魔法式だってサイオン波動の一種だもの。それなのに、魔法師が立っていられない程のサイオン波なんて、そんな強い波動を一体どうやって…？」

会長の疑問は最もだ
しかし、この疑問に答えたのは市原先輩だった

「波の合成、ですね」

「え？」

「振動数の異なるサイオン波を三連続で作り出し、三つ波が丁度服部君と重なる位置で合成されるように調整して、三角波のような強い波動を作り出したんでしょう
よくもそんな、精密な演算が出来るものですね」

「お見事です、市原先輩」

市原先輩は達也の演算能力に呆れているが、私はそれを初見で見抜いた市原先輩の方が凄いのではないかと思う

「それにしても、あの短時間にどうやって振動魔法を三回も発動出来たんですか？
それだけの処理速度があれば、実技の評価が低いはずはありませんが」

正面から成績が悪いと言われ、達也は苦笑するしかないようだ

まぁ、それは仕方がないことなのだろうが