魔法科高校の劣等生 (ページ36)

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勝敗は、ものの秒単位で終了した

「…勝者、司波達也・朱鷺宮A」

渡辺先輩による勝ち名乗りはとても控え目だった

勝者の顔に喜悦はない

当たり前にすぎない、とでも言いたげな表情だった

とりあえず達也と一礼し、私はすることがないので達也のCADケースの方に一緒に移動する

その二人の背中を

「待て」

と渡辺先輩が呼び止める

「…何がどうなったのか全くわからないんだが
達也君の今の動きは…自己加速術式を予め展開していたのか？」

ちなみに、私も達也の動きにはとても驚いている
瞬間移動と見間違える程の、速力
生身の肉体には、為し得ない動きに見えたのだ

「そんな訳がないのは、先輩が一番良くお分かりだと思いますが」

そう、達也の言う通り、CADがフライングで起動されてはいなかった
サイオンの流れは確認出来なかった

それはつまり…

「魔法ではありません。正真正銘、身体的な技術ですよ」

「私も証言します。あれは、兄の体術です。兄は、忍術使い・九重八雲先生の指導を受けているのです」

なるほど
やっと合点がいった

どこかで見た動きだとは思っていたが、まさかあの人の指導を受けていたとは

と一人納得していると、渡辺先輩は息を飲んでいた

彼女は対人戦闘に長じている
九重八雲の名声もよく知っていることだろう

その他の皆さんは知らないながらも、それが凄いことだというのは理解しているようだ