tongue don't lie ページ6
カタカタとキーボードの音が響き渡る。部屋にあるのはデスクワーク用の机と椅子、そしてソファがひとつ。九井一はパソコンに表示された時間を確認しながら軽く肩を揉む。梵天の金を一挙に任されている九井には余念がない。いつも頭にあるのは金の事ばかり。今も今月の上納金をリスト化しているところだった。ゆっくりと腰を上げ、唯一ある皮張りのソファにいる人物へと一声を掛ければ、閉じた目をゆっくりと開く。数秒瞬きを繰り返した後、長いまつ毛からのぞく澄んだ目が、目の前にいる幹部へと視線を落とす。
『お、もう資料出来た?』
コ「まぁな」
相変わらずココは優秀だなと言いながら、自分用のタブレットに送信された資料へと目を通す。九井はその様子をじ…っと見つめ怪訝な顔をする。
コ「……ボス」
『うん?』
コ「飯、最後にいつ食った?」
どきり、とあからさまに肩が揺れるA。えーと…?と口では答えようとしているが、スクロールする手は止めない。Aが答えるまで動かねーぞという圧を感じ、観念したのかため息を突きながら『…ココと中華行ったっきりかな』その言葉にはぁ!?と思わず大声が出る。Aと九井が最後に食事に行ったのは2週間近く前の事。きっといつものごとくサプリメントだけでやり過ごしてきたのだろう。本人は特に不調を訴えていないが、部下としては上司に倒れられては困る。
コ「ボス、飯行くぞ」
『え、今から?別にいいけど…ココが食べたい物でいいよ』
コ「じゃあいつもの中華で」
ボス、辛いものなら食えるだろ?と言いながら出かける準備をする九井。んー正直舌がピリピリするから好き好んで食いたくはねぇと言えばものすごい形相で睨まれた。うちの経理こわい。
コ「だったらその味覚障害はやくなんとかしろ」
それは突然のことだった。普段と同じように口に食べ物を口に放り込んでからある違和感に気付く。いつもよりも咀嚼し、もう一口と繰り返していくうちに確信する。味がわからない。医者からは強いストレスが原因だと言われた。当時のAには思い当たる節があり過ぎて、誰よりも診断結果をすんなりと受け入れていた。
『…まぁ、シュークリームの味がわかんないのはつらいかな』
それに、オレの大好きだったあの子の手料理はもう食べれないから
『(だから…もう、いいや)』
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防弾チョッキ(初心者) - おおおお終わっている・・・・!!?(とても楽しく読ませていただきました。できることなら更新をしてほしいですが、自分の作品をどうするかは作者様の自由です。どうか無理はなさらないでください。) (2022年8月30日 20時) (レス) @page10 id: 16da95312d (このIDを非表示/違反報告)
慶司 - はじめましてかと思います! いつもこの小説を何回も読んでいます! 更新待っていますね! 楽しみに待っています! (2022年6月15日 21時) (レス) @page10 id: bc494d8f17 (このIDを非表示/違反報告)
ただのバカです - お久しぶりです!お元気でしょうか?最近話が進んでないようなので。お話また楽しみにしていますね。またなっ! (2022年6月13日 21時) (レス) @page10 id: 1f623cf24b (このIDを非表示/違反報告)
ただのバカです - お久です!体調大丈夫ですかね?コロナが結構流行っているので…お話進んでて良かったです。続き楽しみ待ってます!あ、まっぽさんのペースで全然大丈夫ですよ!夜遅くにすいません…続き楽しみ待ってますね。 (2022年3月26日 1時) (レス) id: acf5fa610c (このIDを非表示/違反報告)
まっぽ(プロフ) - ただのバカですさん» コメントありがとうございます!テスト大変ですね頑張ってください🥲👏竜胆!単独での絡み確かに書いた事ないですねありがとうございます書きます🥳 (2021年12月20日 0時) (レス) id: 1847723ecb (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:まっぽ | 作成日時:2021年10月17日 21時