もう1人のマイキー【東卍】

25話 思い出の場所 ページ27

佐野家道場



『ここからだとオレん家のが近いから』Aの一言で佐野家に着くと、千冬を道場に待たせ救急箱を取りに行く。簡単なものしか家にはなかった為、帰ったらちゃんと見てもらえよ、と言いながら傷の手当てをする。痛いのか時々呻き声をあげる千冬だったが、借りてきた猫のように大人しく治療を施されていく。



『派手にやられたなぁ千冬』



『ったく圭介のヤロー、次会ったらオレが千冬の分まで殴っといてやるよ』というと「Aくんの殴るはシャレになんねーッス…」と返してくる。それが面白かったのかぷっとAが吹き出すと、つられて千冬も笑みをこぼす。


『千冬この道場来るの初めてだっけ？』


千「はい！初めてッス！」


『圭介、昔ここで空手習ってたんだぜ』


千「あ！場地さんに聞いたことあります！」


『まぁ勝負ふっかけられるたびにけちょんけちょんにしてやったけどなー』


千「ははっ、なんか目に浮かぶっス」



へぇ…ここが…と目をキラキラさせて道場を見渡す。あれだけ場地に殴られたにもかかわらず、その目には場地への憧れと尊敬が滲み出ていた。Aはそんな千冬をみてまた笑みをこぼす。



『千冬さ、圭介好き？』


千「！えっ！！？？あっそれはもちろん！！！」


『うん、オレも』



少し大人びた微笑を浮かべるAに、少しどきりとする。すると、Aは暗くなってきた空を見ながらぽつりと話し始めた。



『アイツさ、バカだろ？』


千「！え、えと……はい」


『眠いってだけですれ違った奴殴るし、ハラ減ったら車にガソリン撒いて火ぃつけるしさ』


千「ば、場地さん…」


『でもさ、アイツは人一倍仲間を大切にするんだ。仲間が傷つけばどんな相手だろうと立ち向かう。あんな仲間思いなヤツそういねぇよ』


千「……」


『だから今も圭介は仲間の為に戦ってるんだ。オレはそう思ってる。千冬は？どう思う？』


千「…オレも、場地さんはきっとオレたちを…東卍を守るために動いてるんだと思います…！」



千冬の目に光が灯る。それは、昨日見た場地と同じ、何かを成し遂げようする目だ。その熱い思いに、Aはにかっと笑う。



『だなっ！』


千「はいっ！」




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千冬嫌いな人はいない(結論)

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