もう1人のマイキー【東卍】

21話 I need only you ページ23

※同性同士のキス表現があります

横浜



『おーいオレそろそろ帰りたいんだけど』


「……」


『そろそろ離してもらえませんか〜』


「……」


『……兄貴』


「ん？どうしたA」


『調子いい時だけ聴こえてんじゃねーよイザナ』



Aを後ろから抱きしめるのは、Aの腹違いの兄である黒川イザナ。先程まで和気藹々と話していた2人だったが、Aの帰るの一言を聞いた途端まるで帰したくないと意思表示するかのごとくべったり離れなくなること1時間弱。



イ「いーじゃん今は夏休みなんだろ？」


『ダメ。明日は用事があんの』


イ「それってオレより大事なコト？」


『めんどくせーなー…！』



いい加減離せ！と離さないイザナの腕を退かそうとするが、いっこうに離れない。この馬鹿力め、と心の中で悪態をつく。



『ついでに言うと、真兄の墓の上でメモ残すのやめてくんない？普通に電話してこればいいじゃん』


イ「え？やだ」



『〜〜〜っ！』



全く言うことの聞かないイザナに痺れを切らしたのか、ひっつき虫状態のイザナを振り払おうと右肘を思い切り後ろに引けば、綺麗に鳩尾に入ったのか呻き声と共に体が解放される。



『オマエも万次郎もほんと世話のかかる奴だな…』



その一言に一変。先程まで柔らかかったイザナの雰囲気が険悪な物へと変わる。Aにとってイザナが兄であれば、もちろんマイキーにとっても兄になる。だが、イザナはそれをよく思っていないのだ。それを分かった上で、Aは言葉を紡ぐ。



『…なぁ、イザナ。そろそろ万次「やめろ」…』


イ「オマエまでオレを置いてくのか？シンイチローみたいに」


『そんなわけないだろ。オレはただ…っ…！』



瞬間、イザナとAの口が合わさる。突然の事により、ガチン！と歯が当たる。すぐさまイザナを押し退けたAの唇からは血が滲んでいた。キッとAはイザナを睨むが、逆効果とでも言うようににやりと笑うイザナ。



『テメェ…！』


イ「A、オマエはオレのものだ。オレの家族はオマエとシンイチローだけ。それ以外はいらねぇんだよ」



イザナは真一郎が死んでから変わった。Aを唯一の肉親だと思い、以前よりも執着心が強くなった。それと同時にマイキーへの憎しみも比例するかのように増幅していったのだ。



『(兄貴…オレは、どうすればコイツを助けられる…？)』





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個人的にイザナは愛が重めだと思ってます

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