【PSYCHO-PASS】名前のない怪物 (ページ7)

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征陸と亜紀がドミネーターを抜き取る姿に促され、おずおずと手に取る朱。その瞬間、彼女の瞳は青く光り顔には驚きの表情が出ている。指向性音声に驚いたのだろう。

征「気にするな、最初は小うるさいだろうがそのうち慣れる」

朱「ブリーフィングは…段取りの打ち合わせとかしないんでしょうか？」

狡「俺たちが獲物を狩りあんたらが見届ける、それだけのことだ」

朱「いやもうちょっと具体的に…」

征「まぁ任せとけってことだ、俺たちもこう見えて専門家だからな」

狡「俺たちには俺たちの流儀がある。だがその責任を負うのは監視官であるあんただ。
だから俺のやり方が気に入らない時はそいつで俺を撃て」

朱「な…ｯ」

狡「俺たちも対象と同じ潜在犯だ。ドミネーターは作動する」

そう言って狡噛は廃棄区画に足を進めていった。
亜紀はその後ろ姿と先程の言葉にある人物の姿を重ねていた。自分にとってかけがえのない存在だった彼に…

征「あー…紹介が遅れたな。あの唐変木は狡噛慎也。でもって俺は征陸智巳。それと…」

自分の事だと察した亜紀はもう紹介済みです、と答えた。そして朱に向き直る。

「常守監視官、配属早々で申し訳ないけど征陸さんと共に行動してください。私は狡噛と行動します」

朱「は、はい…ｯ」

しっかりと返事は返してくれるが、やはり不安なのだろう。表情からは緊張感が伺えた。
そんな朱に亜紀は初めて会った時のように笑みを浮かべた。

「緊張せずに気楽にね。何かあったら征陸さんや私に相談してください。それじゃあ征陸さん、お願いします」

征「任せな。じゃあ俺らも行くかね、お嬢さん」

朱「は、はい！」

朱の返事を聞き取ると亜紀は再びドミネーターを握り締め、狡噛が進んでいった方向へ走り出した。