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随分と暗くなったが、村の一角には人集りが出来ていた。
青紫の髪で顔の右側が隠れている女性が必死に追い返しているが、
好奇心というのは恐ろしいもので、一向に人は減らない。
「あぁ…煩いと患者さんの体力が減りますから!何でもないので帰って…!!」
「王都からなんて珍しいわ」
「大怪我だそうじゃないか」
「そういえば息子が風邪を引いちゃってねー」
「病院は静かにするところです!!あと世間話はお家でしてください!」
深いため息をついて病院の中を覗き込むと、奥から心底鬱陶しそうな
声が聞こえた。それと同時に大型の狼が一匹飛び出してくる。
「ここの人は強情だから無駄だよ」
低い声で唸る狼に驚いた野次馬は蜘蛛の子を散らすように帰っていった。
すぐにおとなしくなった狼を撫でながら、女性はボソッと呟いた。
「なんでこう…直接手を出しちゃうのかな、この人は」
「エンヴィー何か言った!?」
「言ってない!どっかのお馬鹿さんは昔から変わんないなってこと!」
「言ってるじゃん!」
ばーん、と扉を開けて怒鳴りかえした白衣の男は、はっと何かに気付いて
そそくさと扉を閉めた。数秒後、小さく舌打ちの音がした。
「医者が舌打ちとか大丈夫!?それでやってけるの!?」
「餅もどき…」
「誰!」
エンヴィーが壁の側から突如現れた中学生くらいの少女に驚いて後ずさる。
「私はリル。15歳。国外から遥々こっちに来たの」
フスン、と満足気に笑うと、再び壁側に戻った。
「あの餅もどき…じゃなくてミズキさんをストー…じゃなくて追跡してる最中」
15歳がストーカーって大丈夫なんだろうか
捕まったりして変なことに巻き込まれるんじゃなかろうか。
というか何故に餅。
ちなみに、ミズキというのは医者の名前だ。
親の手違いで“望月”という字を書くらしいが。
謎が謎を呼び結局思考を諦めたエンヴィーはリルを捕獲して震えながら言った。
目の焦点が微妙に合っていない。
「あの…リルちゃん、保安官に捕まるかストーカーを諦めるか選んでくれる?」
「台詞が悪役みたいになってる… 私は第三の選択肢としてストー…追跡は諦めずに
保安官から逃げ切る方法を立案しちゃったりする!」
「うわ…この子怖い」
ジタバタと抵抗するリルを捕まえたまま、病院の中に入った。
薬品と何かが焦げたような匂いがする。
「うー…」
「とりあえずできる範囲のことはしたから。今日はもう休んで」
そして望月が視線だけで「外に出ろ」と言ったので、リルとエンヴィーは顔を見合わせて
病室を出た。
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魚拓(りょくちゃば。)(プロフ) - お茶漬けさん» わー!亀更新になってましたが見に来てくださってありがとうございます!頑張りますよー! (2016年6月5日 22時) (
レス) id: c3debed354 (このIDを非表示/違反報告)
お茶漬け(プロフ) - 更新お疲れ様です、元(ｽﾔｧ)←です。覚えてますかね( ´ ▽ ` )更新頑張ってください! (2016年6月5日 19時) (レス) id: d3355cdb9b (このIDを非表示/違反報告)
ひのとり(プロフ) - 見るの遅くなってすいません。おもしろいです。更新楽しみにしてます。 (2015年12月23日 18時) (レス) id: 6280e24e01 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：魚拓 | 作成日時：2015年9月2日 13時
