誕生日プレゼント（緑）3 (ページ4)

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ガラス一枚向こうの幸せを

ぼんやり見つめながら

そんな事考えたら

また鼻の奥がツンと痛くなってもたから

慌ててソファーに戻る

気持ち何とか落ち着かせてから

｢ヤスぅ｣

｢手ぇ洗いたいねんけど｣

大きな声で叫ぶ

｢あぁこっち来てぇ｣

ってヤスの声が返ってきたから

ゆっくり立ち上がってドアに向かう

ドア開けたらそこには部屋着に着替えたヤスだけがおって

彼女さんは寝室にでもおるんかな？姿が見えへんかった

ヤスは洗面所までついてきてあかりをつけてくれた

ほんで俺の胸に新しいタオル押し付けたら黙ってリビングに戻って行った

洗面所の鏡には赤い鼻した情けない顔の俺が映っとって

ちょっとはシャキッとせんと思もて

手ぇ洗ろてうがいした後冷たい水で顔を洗う

借りたタオルで顔拭いたら

しょっちゅうヤスんちで過ごしてたあの頃より

ほんの少し甘い匂いに変わった柔軟剤の香りがする

彼女さんの好みなんやろな

このマンションに引っ越してから来たこと無かったし

そんな話もした事無かったけど

きっと

ここで二人で暮らしてるんやと改めて思う

使わせてもろたタオル畳んだら洗濯機の上に置いて

今にも泣きだしそうな顔しとる鏡ん中の自分から目をそらすようにリビングに戻った