誕生日プレゼント（緑）3 (ページ13)

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涙は知らん間に止まっとって

何も話さへんと

自分の世界に入り込んでもた俺を引き戻したんはヤスの声やった

｢おーくら？｣

｢思いあたることあんねんな？｣

いつもの優しい声で聞いてくれたから

俺は頷いて

でも

何て言うてええか分からへんかった

ヤスの顔もよぉ見んと残っとったコーヒーを一気に飲む

さすがの保温マグでもすっかり冷めてもうてて

どれだけの時間ヤスが寄り添ってくれてたかと思うと

また鼻の奥がツンとなる

そんな俺の顔を覗き込んで

ヤスは柔らかく微笑んで

｢せんちゃんさすがに仕事は辞めへんやろ？｣

｢ほんなら完全に切れたわけやあらへんやん｣

って俺の肩をグーパンしてきた

全然痛ぁなんてあらへんかったけど

大袈裟に床にひっくり返って痛がったら

｢アホか｣

ってヤスがまた柔らかく微笑んで

｢コーヒーお代わり入れるわ｣

｢ゆいほど美味ないけどごめんやで｣

って立ち上がった

俺はキッチンに向かうヤスの後ろ姿を見ながら

次にAに会うたらなんて声をかけたらええんやろ？

のんきにも

そんなことをぼんやりと考えてた