誕生日プレゼント（緑）2 (ページ22)

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何で？

なんでなん？

アトリエの入口のスイッチを入れる

でも灯りはつかへん

何度かカチカチやるけどやっぱつかん

ブレーカー落ちとる？

真っ暗な階段上がって

プライベートルームのドアを開ける

こっちは鍵がかかってへんくて嘘みたいに簡単に開いた

スマホかざした部屋の中は

やっぱり空っぽで

小さなコタツも

いっつも俺に譲ってくれてた座椅子も

何度も体温分け合ったベッドも

何もかもあらへんかった

呆然と立ち尽くしとる俺の手の中で震えるスマホ

Aからや！

何で俺画面ロックなんてしとんねん！

慌ててLINEを開く

0:00の横に

『お誕生日おめでとう』

たった一言の吹き出し

そしてその下には

『Aが退出しました』

の文字

LINE閉じて次は連絡先から震える指で電話をかける

『貴方のお掛けになった電話は現在電波の届かない場所におられるか、電源が入っておりません』

流れてきたんは機械の声

ふらふらとベッドが置いてあった壁んとこまで進む

壁にもたれて

ズルズルと床にへたり込む

何があったん？

俺ら上手いこといっとったんちゃうの？

そう思もてたん俺だけ？

Aはちごたん？

やのに

誕生日祝おてくれるん？

やのに

連絡取れへんの？

ほんま意味分からへん

溢れ出る涙を止める事も出来ひん

その涙を拭くティッシュを渡してくれるAもおらん