耳元で歌わせて（赤）9 (ページ13)

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会社着いたら入口んとこでヨコが待ってくれとって

俺を見つけて駆け寄るなり

俺の手を引いて建物の陰まで連れて行かれたら

｢ヒナが朝から会議で呼び出されとる｣

｢俺からも専務にも真面目に付き合うてるとは言うといたけど｣

って朝の挨拶もせんと口開いた

チラリと視線移したら

Aちゃんは下唇噛んでヨコの顔を真っ直ぐに見てた

俺はAちゃんの左手を握って

｢大丈夫や｣

って笑ろて言うたあとヨコに向き合うて

｢俺ら昨日結婚式あげてん｣

｢入籍も近いうちにするわ｣

って言うたら

｢おまっ！いつの間にやねん？｣

｢おとつい出会おた時はそんな事言うてへんかったやんけ｣

ってめっちゃ慌てたヨコが何かツボってもて

くすくす笑いながら

｢まぁそう言うことやねん｣

って返す

Aちゃんの手が俺の手を強く握り返すから

もぉ一回Aちゃんの手をしっかり握って

｢俺ら覚悟決めたから大丈夫やで？｣

二人で顔を見合わせたあと大きく一つ頷いて

ヨコの方向いて二人で笑う

そんな俺らを見てヨコは何とも言えへん顔をしたけど

それでも俺の頭をクシャりと撫でてから

｢専務が戻られる前に行くわ｣

言うて駆け出して行った