226 ページ12
俺もスーツに着替えて玄関に向かう
玄関の外で待ってくれてたAちゃんに手渡された弁当は
いっつもAちゃんが使こてる小さめのトートに入ってた
猫のイラストが俺に似てるって気に入って買うたやつ
今まで丁寧に見たことなかったけどよぉ見たら
猫の下に小さくsuba-chanって書き込んである
ヤバっ！何？その可愛いやつ！
Aちゃんの決意に後押しされて
俺ももぉ隠すんやめよって思たから
今日は同じ車両に乗り込む
そこそこ混んでる電車のドアんとこAちゃんを守るように立つ
Aちゃんはそんだけの事で真っ赤になって俯いてて
もぉ！どんだけ可愛いねん！うちの奥さん！
そんなAちゃんの可愛いとこもっと見たなって
Aちゃんの左耳のとこで
｢この猫ほんま可愛いな｣
｢俺と同じ名前やなんて知らんかったわ｣
って言うたら
ガバッと一瞬顔上げて俺を見てきたけど
俺が｢ん？｣って感じににっこりしたら
また目を伏せてもた
髪纏めとるせいで見える耳まで真っ赤で
俺がくすくす笑ろたら
小さくグーパンチしてきた
そんなとこまで可愛いって
俺って完璧嫁バカやんな
駅に着いて改札抜けて二人で歩いてたら
多分会社の人なんやろな
何人かが俺らの事チラチラ見ながら追い抜いていく
ちらっとAちゃんを見たら
凛として真っ直ぐ前を向いて歩いている
俺も小さく息を吐いたら
Aちゃんの左手を握る
下げた視線の先
Aちゃんの左手首と俺の右手首にはお揃いの数珠
これでええんやと自分を奮い立たせて
手を離したら俺も前を向く
この小説をお気に入り追加 (しおり)
登録すれば後で更新された順に見れます 289人がお気に入り
お気に入り作者に追加
この作品を見ている人にオススメ
違反報告 - ルール違反の作品はココから報告
作品は全て携帯でも見れます
同じような小説を簡単に作れます → 作成
この小説のブログパーツ
作者名：UTA
| 作成日時：2019年4月13日 9時
