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前はざるどころか筒のように飲んでも酔うたとこなんか見せた事あらへんかったAが

めずらしいことに頬を赤くしてトロンとした目で俺を見つめとる

その力の抜けた無防備な姿が愛おしいて思わず



「今付きおうとる人おらへんのやったら・・・」

「・・・・・・」

「・・・・・・もっかい・・・」



そこまで言うて言葉に詰まってもて両手で包み込むように持っとったグラスを煽る

ほいでもその後の言葉が続かへんくて目の前にあった酒の瓶に手を伸ばしたら

Aの手がそっと俺の手に触れて



「昨日の今日でしょ?もうやめた方がいいよ」

「・・・って言うか・・・そんな大事な事はお酒の力借りずに言ってよ」



そう俺の目を真っ直ぐに見て言った


その真っ直ぐすぎる視線から思わず目を逸らしかけたけど

それは違うって思い直して

一度目を閉じてからしっかりAと視線を合わせた



「AAさん」

「俺と付き合ってください」



そう伝えたらAは真っ直ぐ俺を見たまんま



「しんちゃんの理想からかけ離れてるし理想の女性にはなれない」

「それでもいいの?」



そう静かに言った

俺はどう答えるんが正解か分からへんけど



「まぁ理想と現実は違うっちゅう事やな」



って真面目な顔して言うたら



「何それ?」



って綺麗な涙を流しながら俺の一番好きな顔で笑ってくれた

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作者名:UTA | 作成日時:2021年1月24日 22時

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