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涙をこらえながら
「・・・A」
弱々しくまた名前を呼ぶ僕に
「隆くんに名前呼ばれるたんびに」
「どんどん自分の名前が好きになる」
「隆くんの話す言葉は魔法みたい」
「・・・いつか・・・」
「・・・いつかきっとお父さんにも届くよ」
「私が隆くんと一緒におれたらそれだけで十分幸せなんやってこと」
そう言うて僕から離れてニッコリ笑うと
「駅まで競走ね」
「罰ゲームは負けた人は勝った人の言う事何でもきかんなんのにしよ」
「行くよ?よーいドン!」
突然そんなこと言うて
ワンピースの裾翻してヒールやのに駆け出した
一瞬呆気にとられて
その後ろ姿を見とったけど
慌てて後を追う
追いついてAの顔見たら
「ヤバっ」
って笑うから
車もほとんど通らん暗い歩道を二人でケタケタ笑いながら走る
駅の手前からダッシュしてAより先に駅前のロータリーに着いて
息を整えながら振り返ってAを待つ
人は少ないけど明るい駅前の歩道で一瞬立ち止まった後
Aは僕の事をチラリとさえ見ること無く
上がった息のまま僕の横をすました顔して通り過ぎた
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作者名:UTA | 作成日時:2020年11月25日 22時