検索窓
今日:2 hit、昨日:2 hit、合計:12,577 hit

1 ページ1

ドアを出来るだけ音ささんようにそぉっと開けて



「ただいまぁ」



靴箱ん上の小さな皿の上にキーケース置いて

小さめの声で言う

奥からチリチリと首輪に付けた鈴を鳴らしながら

すっかりこの家の主みたいになったちぃがやって来た


靴を履いたまんま屈んでその柔らかな毛並みを撫でる



「ちゃんとええ子にしとったんか?」



って聞いたら

得意そうな顔して俺の手に擦り寄ってきた



「そかそか」

「ちゃんとええ子にしとったんやな」



って言うたら頭の上から



「キッチンの豆苗勝手に食べて怒られたんだよね」



って声がした

屈んだまんま顔だけ上向けたら



「おかえりなさい」

「信五さん」



って優しく微笑んだAが俺の前に屈んで

ちぃの眉間を撫でた



「ちぃ」

「勝手に物食うたらアカンやろ」



そう言うて靴を脱ぐ


俺に一歩遅れる形で立ち上がったAの手には床に置いてた俺の鞄があって

「お風呂沸いてるよ」の声に「ほな入ってくるわ」と返して風呂場に向かった


ゆっくりと湯船に使ってガチガチやった体を緩める

風呂から上がったら用意してもろた部屋着着て

髪も乾かしてからリビングに向かう


八畳程のそう大きくもないリビングダイニング

こじんまりしたテーブルには俺の好物ばかりが並んでいた


「信五さんお酒飲む?」


キッチンのカウンター越しにAが聞いてくるから


「焼酎ロックで」


って答えつつも

テーブルにはつかずにリビングの端にある襖を開ける


豆球の灯りの下

ダブルベッドのど真ん中で我が物顔で眠る小さな体

くぅくぅと可愛い寝息たてとる姿に思わず口元が緩む

頭をそっと撫でてその毛の柔らかさを堪能してからリビングに戻る

2→



目次へ作品を作る感想を書く
他の作品を探す

おもしろ度を投票
( ← 頑張って!面白い!→ )

点数: 9.9/10 (37 票)

この小説をお気に入り追加 (しおり) 登録すれば後で更新された順に見れます
96人がお気に入り
違反報告 - ルール違反の作品はココから報告

感想を書こう!(携帯番号など、個人情報等の書き込みを行った場合は法律により処罰の対象になります)

ニックネーム: 感想:  ログイン

作品は全て携帯でも見れます
同じような小説を簡単に作れます → 作成
この小説のブログパーツ

作者名:UTA | 作成日時:2020年1月27日 18時

パスワード: (注) 他の人が作った物への荒らし行為は犯罪です。
発覚した場合、即刻通報します。